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和田秀樹 サバイバルのための思考法ビジネス

精神科の病気をタブー視する文化(3/6ページ)

2016.11.08

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電通女性の過労自殺はうつ病の可能性が強い

 ところがいっぽうで、日本では自殺未遂をして初めて精神科に診てもらったり(診てもらわない人もいるらしい!!!)、医者にかからないまま自殺してしまったりする人が、むしろ当たり前にいる。

 電通の女性の過労自殺問題で、取材を受け、SNSの内容を見せてもらったが、不眠にしても、ものごとを悪く受け取る認知の変化をみても、うつ病の可能性が強いものだった。

 おそらく海外の人間からすると、日本の過労やパワハラのひどさももちろん驚きだろうが、いっぽうで、こんな状態なのに精神科の治療を受けていないことも驚くことだろう。

 81もある日本中の精神科の医局の主任教授で、カウンセリングが専門の人が一人もいないなど、まだまだ日本の心の治療は遅れているのは確かだが、薬物療法にしても電気ショック治療にしても、あるいは磁気を使ったTMS(経頭蓋磁気刺激法)という治療にしても、一応、最先端の治療の選択肢はかなり広がっている。

 うつ病の場合、一時期は、神経伝達物質の不足で起こると考えられていたが、薬で30分で補正できるのに、薬の効果が現れるのに2週間かかるのは、伝達物質の不足が神経栄養因子の不足を招き、神経そのものが変性をきたすので、薬で伝達物質を補正しても、変性が改善するのに2週間かかるからだという説が強まっている。だとすると伝達物質が足りない状態が長く続くほど治りにくくなるし、神経の変性もひどくなる。実際、うつ病の既往のある人は認知症になりやすいことは様々な調査で明らかになっている。

 伝達物質の補正は、薬でなくてもカウンセリングでも可能ではないかという考えも強まっているし、電気ショック治療やTMSのほうが安全で副作用も少なく、即効性があるともいわれている。

 私が、この手のコメントをするたびに不愉快な思いをするのに、それを続けているのは、その人が本当にその病名に当てはまっているかはわからないが、こういう状態であれば、こういう病名がつきますよということのわかりやすい例になると考えるからだ。

 涙で眠れなくて体重が減っていればうつ病、アルコールの量が増えていてアルコールで問題行動を起こせばアルコール依存症、鬱っぽい人がふだんよりハイテンションなら双極性Ⅱ型という風に、本人なり周囲の人が医者に行く、医者に連れて行くガイドラインになるからだ。

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