トップ > 伊藤元重「瀬戸際経済を乗り切る日本経営論」 > 伊藤元重:潜在成長率の低い日本、構造的不況の罠から脱する方法は何か

伊藤元重「瀬戸際経済を乗り切る日本経営論」ビジネス

伊藤元重:潜在成長率の低い日本、構造的不況の罠から脱する方法は何か(1/5ページ)

2015.06.24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 先日、ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が書いた論文US Economic Prospects: Secular Stagnation, Hysteresis, and the Zero Lower Boundを読んでいたら、彼が米国政府の中にいた1993年頃は、日本の成長率は3~4%であるという予想を米国政府内で立てていたという。日本のその後の現実の経済成長率はそれよりもはるかに低い数字で推移している。

 米国政府の見通しが間違っていたのか、それとも不良債権問題やデフレなど日本経済でその後起きた出来事が日本の成長率を下げたのか。この点は、今後の日本経済の先行きを考える上でも重要なポイントとなりそうだ。

日本の潜在成長率はなぜ低いのか

 安倍政権は実質2%、名目3%という高い成長率を目標に立てている。また、この成長率を前提とした財政再建のプランを構築しつつある。これに対して、多くのエコノミストはこの見通しに批判的である。日本がそれほど高い成長率を続けるのは難しいというのだ。

 日本が高い成長率を続けることが難しいという根拠になっているのが、日本の潜在成長率の低さである。私は成長率推計の専門家ではないので詳しいことは分からないが、日本の潜在成長率が低くなっている背景にはおおよそ次のようなことがあると考えている。

 重要なことは、日本の全要素生産性(TFP)の低さである。TFPとは、現実の成長率と、資本や労働の増加によって予想される成長率の差のことである。「技術進歩や生産の効率化などによってもたらされる生産性の上昇」を示していると解釈されている。このTFPはバブル崩壊後、ずっと低い水準で推移してきた。

 今後の日本の潜在的な成長率は、資本や労働の増大による部分と、このTFPの部分から来ると想定される。人口減少などで資本や労働の増加にあまり期待できないとすると、TFPがよほど高くないかぎり高い成長は望めない。残念ながら過去20年のトレンドを見ると、TFPは非常に低い水準である。だから日本の潜在成長率の推計も低くなる。

 問題はこの低い潜在成長率の推計が、これからの日本の経済成長の動きを正しく予想しているのか、それとも潜在的成長率の推計では読み取れない大きな動きが起こりうるのかという点だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【PR】トレンドアイ

  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー