トップ > 「3冊だけ」で仕事術向上! ――奥野宣之「ビジネス書、徹底比較レビュー」 > トランプvsヒラリー 本当の「奇人」はどっちだ! ――3冊で見通す“世界最高権力”の行方

「3冊だけ」で仕事術向上! ――奥野宣之「ビジネス書、徹底比較レビュー」ビジネス

トランプvsヒラリー 本当の「奇人」はどっちだ! ――3冊で見通す“世界最高権力”の行方(4/7ページ)

2016.06.24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

トランプという「夢」から覚める日は?

 2冊目の『なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか?』のトランプ評は『崩壊するアメリカ』に比べてずっと辛口である。

 著者の佐藤則男氏は、アメリカ大統領選挙を40年以上にわたって取材してきた在米ジャーナリスト。

 タイトルだけ見ると「ヒラリー推し」のようだが、筆者は共和党支持だし、登場するアメリカの知人たちの人種も支持政党、年収もさまざま。メディアに出てこない生活者の「生(なま)の声」が聞ける本となっている。

 本書の刊行は2015年11月。まだトランプがキワモノ扱いだったころだが、著者の佐藤氏はトランプの集会の様子について、次のように書いている。

 聴衆は、やんやの喝采である。たとえば、アメリカの経済、雇用などが悪くなったのは、「中国や日本がアメリカから仕事を奪ったからだ」などと声を張り上げ演説する。筆者などは、辛辣ではあるが、「馬鹿ではないか」と思うほどである。
 その理由は、アメリカ人労働者の賃金が高く、しかも、よりよい製品が作れないからである。つまりアメリカの製品が質的にも、コスト的にも国際競争力を失ったからという以外にありえない。アメリカの製造業の没落なのである。それを棚に上げての発言なのである。
 しかし、こんなトランプの演説を聞いて、聴衆は沸き立っている。いったいどんなレベルのアメリカ人が演説会に集まっているか、容易に想像がつくであろう。(なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか?/P.17)

 先ほどは、トランプ現象を「マイノリティの国」に変わっていくことへの反感だと紹介した。一方、ここから読み取れるのは、もっとシンプルな不満、つまり「生活が苦しいのをなんとかしろ!」というものだ。

 アメリカ社会の豊かさの格差は大きい。トランプ現象は「持たざるマジョリティー(貧乏な白人)」の声が極端な形で噴出したものだと言える。

 それでも、いくら多数から支持されようと「日本や中国が仕事を奪っている」といった事実誤認に基づくアジテーションは完全にルール違反だし、本選では通用しないだろう。

 いや、でも日本にも、嘘に嘘を塗り重ねて有権者をわけがわからなくさせて、勢いだけで当選しちゃう人がいるんだよなあ……。

 佐藤氏は、トランプ人気を「夢はいつか覚めるものだ」と切り捨てている。果たしてアメリカは選挙前に目覚めてくれるだろうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー