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「3冊だけ」で仕事術向上! ――奥野宣之「ビジネス書、徹底比較レビュー」ビジネス

トランプvsヒラリー 本当の「奇人」はどっちだ! ――3冊で見通す“世界最高権力”の行方(2/7ページ)

2016.06.24

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「カウボーイの国」から「マイノリティの国」へ

 1冊目は2016年4月発行の『崩壊するアメリカ ~トランプ大統領で世界は発狂する!?』。アメリカの保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の元研究員で政策アナリストの横江公美氏による本である。

 トランプ現象だけを語る本のように見えるが、ページの多くを割いて語られるのは、アメリカ社会の変化だ。

 どういうことか? 平たく言えば軍事力を背景にした「世界の警察」というイメージのアメリカは、もはや完全に過去のものになったと著者は言う。

 その変化の体現者となったのが、オバマ大統領である。

 横江氏は、まず日本人の多くが持っているオバマ大統領へのイメージ「何もできない弱い大統領だった」を否定する。実際には逆に、多くの業績を残し、アメリカ社会に多大な影響を与えた大統領だった、というのだ。

 その業績として著者は、医療保険制度「オバマケア」をはじめ、イランとキューバとの国交正常化、海外派兵の縮小、TPP交渉、同性婚の許可などを挙げている。たしかに、言われてみれば2期8年の実績としては充分すぎるほどだろう。また直近では広島を訪問し、反核兵器の歴史的なスピーチもした。

 中東の紛争への対応を見ていても、あまり軍事力を使うイメージはないオバマだが、アメリカ国内への影響力としては「強い大統領」だったのだ。

オバマ大統領にまったく人気がなかったら、同じ民主党のヒラリーが強力な大統領候補として名前が挙がることはなかったはずだ。オバマ大統領の業績は思った以上にしっかりとアメリカに根づいているのである。
 ヒラリー待望論は、オバマ大統領のアメリカが続くことの要請と見ることができる。オバマ大統領が誕生した2008年以来、アメリカ合衆国ではレーガン大統領に代表されるカウボーイの国からオバマ大統領に代表されるマイノリティの国への大転換が起きている。その大転換の結果として、女性大統領待望論が登場しているのだ。(崩壊するアメリカ/P.51 ※太字強調は引用者によるもの。以下引用部でも同じ)

 オバマ大統領の誕生をきっかけに、アメリカは黒人、ヒスパニック、性的少数者などにやさしい「マイノリティの国」に生まれ変わった。

 この「オバマ路線」を引き継ぐのがヒラリーである。彼女は最大のマイノリティ「女性」の代表として、選挙を戦っている。

 そこに立ちはだかるのが、かつてのような「保守」サイドではなく、社会主義者・サンダース、そして本音ぶっちゃけトークの扇動家・トランプだったとは、一体誰が予想できただろうか?

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