• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

自治体トップが語る

記事一覧

低成長時代には「プロセスに参加してもらう」コミュニケーションを

千葉市長 熊谷俊人氏に聞く(後編)

聞き手:黒田 隆明【2015.3.12】

(前編はこちら)

公民連携という言葉からは、民間の資金を活用した公共施設の整備事業を想起する人も多いのでないか。もちろん行政経営では重要なスキームだが、公と民の連携の在り方はそればかりではない。千葉市長の熊谷俊人氏へのインタビュー後編では、民間企業や市民と行政とのコミュニケーションについて聞いた。

(写真:北山宏一)
[画像のクリックで拡大表示]

――千葉市では、企業との連携による取り組みがいろいろな分野で進んでいますね。

 市長が私の代になってから、かなりの数の協定を民間企業と交わしています。私は千葉市では戦後初の民間企業出身の市長なのですが、そうしたこともあってか、これまでは幕張新都心に本社を置く企業群と市役所との間はほとんど没交渉の状態でした。でも、コミュニケーションを取ることによって、一緒にやれることも見えてきます。

 行政自身が普段から「民間と組む」という発想を持っていることが大事だと私は思っています。行政は行政で、民間にはない強みを持っていますが、「この部分は民間の人たちと一緒にやった方がいい」という場合もあるわけですから。

 例えば、ウェザーニューズと連携して、2011年2月に「ちば減災プロジェクト」をスタートしました。市内の気象に関する情報や災害時の被害情報などをネット上で共有するというものですが、これは当時としては先駆的な取り組みだったと思います。

 イオンとは包括連携協定を結んでいますが、その一環として店舗に期日前投票所を設置していただきました。美浜区のイオンマリンピア店に設置したのですが、2014年末の総選挙では美浜区の全投票者数の約2割の人がマリンピアで期日前投票をしました。

――期日前投票の2割ではなく、当日の投票分も含めての2割ですか?

 そうです。投票者総数の2割です。駅前(JR京葉線の稲毛海岸駅前)の商業施設ですから、もう圧倒的な利用率なんですね。今年4月の統一地方選ではもう一カ所、稲毛区のイオン稲毛店(JR総武線の稲毛駅前)にも設置していただくことになっています。

イオンマリンピア店に設置された期日前投票所。2014年末の総選挙ではここで1万3029人が期日前投票を行った。千葉県美浜区の全投票者の約2割に当たる。千葉市は賃借料なしで場所の提供を受けた(写真:千葉市)
[画像のクリックで拡大表示]

 包括連携協定というのは、協定を結んでから意味のある具体的な事業にどう持っていくかが重要です。千葉市の場合、協定に基づいたいろいろな取り組みが比較的多く実現しているのではないかと思います。

――公と民のコミュニケーションという観点では、東南アジアなど海外からのムスリム(イスラム教徒)の観光客誘致も、千葉市の場合、公民の足並みがそろっているという印象を受けました。

 インバウンド戦略としてハラール(イスラム法において合法なもの)への対応について言及した自治体は、おそらく千葉市が初めてだったのではないかと思います(※1)。

 とはいえ、観光誘致の都市基盤としてハラールを推進していこうとなった場合、そこに市が直接関係してくることはほとんどありません。やはり民間の力が大きいんです。幕張新都心には、ハラール食を提供するホテルがあったり、神田外語大の学食がハラール対応になって、住民にも定期的に開放してくれたりしています。イオンモール幕張新都心には祈祷室がありますし――。このように少しずつ、皆がそうした方向に舵を切っているなかで、我々としても地域の取り組み姿勢を発信していく、ということをやっています。

――確かに、「地域全体として取り組んでいる」というアピールをするなら、個別の企業よりも、市長が発言した方がメッセージとして分かりやすいですね。

アジア各国のメニューをそろえる神田外語大学(千葉県千葉市美浜区)の学生食堂「食神」。メニューにはハラール食もある。週末には一般にも開放している(写真:佐野学園)
[画像のクリックで拡大表示]
※1 千葉市は13年11月、観光協会や商工会議所、企業や大学などと「千葉市海外インバウンドツーリズム推進協議会」の設立を発表した。11月14日に行われた設立総会での市長のハラール対応に関する発言は各メディアで取り上げられた。14年11月には幕張メッセで「ジャパンハラールエキスポ2014」(主催:同実行委員会、千葉市は後援)を開催している。
企画・運営
  • 日経BP総合研究所
お知らせ
pickup

ページトップへ