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地方で働く

先行例を知り、自分の選ぶ「道」に自信をもつ

「新しいシゴト」を巡るトーク<第3回>

「ナリワイ」と呼ぶ新しい仕事づくりを実践する伊藤洋志氏と、「生きるように働く人」向けの求人サイト・日本仕事百貨を運営するナカムラケンタ氏によるトーク再録の最終回。伊藤氏が長年温めてきた企画が花開くという新しいナリワイの展開、ナカムラ氏が進める東京・虎ノ門における場所づくり、それぞれにこめる思いに話は及んだ。(第2回はこちら URL

ナカムラ 次は、今日いちばん聞きたかった部分です。というのも僕は「ロールモデルを持ったほうがいい」派なんですけれど、伊藤さんはそうじゃないと言っている。もしかすると伊藤さんと僕とでは最も違うところかもしれません。ただ、ロールモデルの定義にもよるので、そこから確認したいと思います。

●『2025年の建築「新しいシゴト」』から
伊藤 ロールモデルは持たないほうがいいと僕は思っています。なぜなら見ているうちにロールモデルの粗が分かってくる。幻滅するんですよ、だいたい。逆にいえば気に入ったロールモデルが見付からない限りは行動できないという結果になります。だから、めちゃくちゃ具体的なところから始めたほうがいいんじゃないかなと。 ──以上、121ページ引用

ナカムラ 僕自身はこう思っています。どんなに文法を勉強してもボキャブラリーが増えない限り、しゃべる内容に限界がありますよね。それと同じで、スタンスの部分でもテクニカルな部分でも働き方や生き方についてのボキャブラリーを増やしておかないと、いざ自分が何かを始める時に困るんじゃないか。こんなビジネスの方法があるんだ、こんな生活のスタイルがあるんだ、じゃあ俺はこんなふうにすればいけるんじゃないかっていうように、色々なモデルを知っているほうがいいと考えているんです。

「リトルトーキョー」(東京・虎ノ門)におけるトークの様子。左がナカムラ氏、右が伊藤氏(写真:日経アーキテクチュア)

伊藤 定義の確認をすると、「こういう人になりたい」「あこがれの人」みたいなものを見付け、それを目指すようなパターンはやめたほうがいいと私は考えています。

ナカムラ それは近いかな。僕も、特定の象徴的な人を崇拝するようなスタンスを勧めているわけじゃありません。むしろ色々な商売のネタや生き方、働き方を知っておいたほうがいいという意味です。

伊藤 先行事例ですよね。それなら、モデルはあってもいいと思います。

ナカムラ そうか、そこもあんまり違わないのかもしれませんね。今までの話を聞いていると、伊藤さんは商売のネタみたいなものは常に探しているわけですよね?

伊藤 はい、日常的に。生活の中で。

ナカムラ すぐには仕事にならなかったけれど、続けているうちに花開いたような「大器晩成型」のナリワイってありますか?

伊藤 今進めているものが、そうかもしれません。僕は学生時代は京都にいたので、着物で生活したいなと思っていたんです。それで新型の着物が欲しくて、サークル活動のようなものですけれど、美大生と一緒に着物をつくって売るプロジェクトを3年間ぐらい続けていました。それが発展した格好で今度は、農作業用の着物をつくって売ろうかな、と。デザイナー含む3人で企画して進めているところです。

ナカムラ どうして改めて始めようと思ったのですか?

伊藤 これも基本的には、自分のナリワイに農作業があるので、その時に使いたいからなんです。かつて農業の現場に取材に行った経験もあるんですけれど、若手が増えているんですよね。それで、国内でつくる野菜を広く提供していきたいと言っているわけです。そういう若い人たちの作業着を見ると、二者択一に近い。中国製のワークマンか米国製のパタゴニアか。

ナカムラ ホームセンターに売っているツナギか、おしゃれをしたければアウトブランドに頼らざるをえないわけですね。それは、分かりやすいなぁ(笑)

初めて農業をナリワイとした「遊撃農家イトウ農園」。6月の梅の収穫期に、そのサポートおよび、ネット販売を担当する(写真:ナリワイ)

伊藤 それしかないのは違和感があるな、と。国産の野菜づくりを推進しているぐらいなんだから、国産の作業着の選択肢があってもいいだろうって感じますよね。それにパタゴニアは本来は登山用なので、立ったり座ったり、道具を持ち替えたりする農作業に適しているわけでもない。聞くと、いやぁ本当に困っているんですよって言いますからね。だから最適化した着物をつくたらいいんじゃないかな、と。

ナカムラ それは売れそうな気がする。今までの流れからすると規模感が大きくなりますね。

伊藤 在庫が発生しますからね。

ナカムラ 販売開始は決まっているんですか?

伊藤 今年の夏の前までには何とかしたい。もうサンプルはできていて、あとは最初のロットを生産するための資金集めです。そのためのクラウドファンディングの文章を書き終わったタイミングです。

ナカムラ どうやって販売するんですか?

伊藤 そこが重要なところで、お店に卸せばどんどん広がるんですけれど、卸売りや小売りの要望に対応し始めると大変なことになるのが目に見えている。製品のコンセプトまで崩れかねないので、従来の常識に飲み込まれない格好にできないかなって考えています。

[日経アーキテクチュア]

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