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ビジネスの進化に求められる業務革新とはビジネス

杜氏がいない酒造り、徹底した数値管理で職人技を超える【前編】(1/4ページ)

2014.12.23

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 日本のみならず、世界中の日本酒通から好評を博している純米大吟醸「獺祭(だっさい)」。実はこの酒の生産過程には、日本酒造りの職人である杜氏(とうじ)が存在しない。徹底した数値管理とデータ分析によって、良質な酒を安定して造っているのである。この記事では、獺祭の蔵元である旭酒造の代表取締役社長である桜井博志氏の経営手腕を掘り下げる。前編では、他に例を見ない同社の酒造りや、現場の風土づくりに迫る。

杜氏がいない銘酒を造り上げる

旭酒造株式会社 代表取締役社長 桜井博志氏

 厳冬の中、ベテランの杜氏が鋭い目線で樽の中をのぞき込み、絶妙な手つきでかくはん棒を操る――老舗の酒蔵というと多くの人が、こんな場面を思い浮かべるに違いない。しかし、旭酒造にはこのような光景は存在しない。同社が生産するのは、日本酒通なら誰もが知っている純米大吟醸「獺祭(だっさい)」。2014年4月末、来日したオバマ大統領に安倍晋三首相が贈ったことでも広く知られている銘酒であるにもかかわらず、同社の酒造りには杜氏が関わっていない。

 一般的な酒造りは、杜氏が酒造りの工程すべてを管理する。杜氏の大半は農業などとの兼業で、農作業の閑散期である冬だけ酒蔵に来て酒造りに携わる。酒造りに関しては、酒蔵の経営者も口出ししないのが日本酒業界の常識だったという。しかし、旭酒造で酒造りに携わっているのは、代表取締役社長の桜井博志氏と社員だけ。なぜ、杜氏の存在なくして、銘酒が生産できるのか。

桜井 博志(さくらい・ひろし)
旭酒造株式会社 代表取締役社長
1950年山口県生まれ。73年松山商科大学(現・松山大学)経営学部卒業、西宮酒造(現・日本盛)入社。76年に旭酒造に入社するが、社長である父と対立して、いったんは退社。急逝した父の後を継ぎ、84年に旭酒造の3代目社長に就任。純米大吟醸「獺祭(だっさい)」を大ヒット商品に育て上げる。著書に『逆境経営――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法』(ダイヤモンド社)がある。
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