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社員に尽くす「サーバント・リーダーシップ」で現場が自発的に動く【後編】――現場のやりたいことは、多少のリスクはあっても見守り実現させる(1/3ページ)

2014.12.08

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前編から続く)

 後編となる今回は、ダイヤ精機の代表取締役である諏訪貴子氏のリーダーシップに迫る。「創業者である前社長の父のようなリーダーシップがない」と語る諏訪氏は、どのように現場を動かしているのか。そこには、近年のリーダーシップ研究で注目されている「サーバント・リーダーシップ」と呼ばれる新たなリーダーシップ哲学が存在した。実は、諏訪氏が現場を動かしているのではなく、諏訪氏の思う通りに現場が自発的に動いていたのだ。

現場の言い出したことは、できるだけ即座にかなえたい

 社長というよりも、おかみさん――。社員に対する自身の立場を、こう評する諏訪氏は、「現場の声にはすぐに応えてあげようと意識している」と語る。

ダイヤ精機株式会社代表取締役の諏訪貴子氏

 諏訪氏がこのような思いに至ったのは、前職の大手メーカーでの経験が背景にある。当時、ものづくりの現場にいた諏訪氏が、ちょっとした改善を思いついて上司に伝えても、実現までに何カ月もかかったり、ささいなことなのに手も着けられなかったりしたこともあったという。これは前職のメーカーに限ったことではないが、大手では動きが遅くなるのも致し方ない面がある。しかし、これでは現場の前向きな気持ちをそいでしまう。

 そこでの経験を踏まえて、「現場がやりたいと言い出したことは、できる限りかなえてあげようと考えている」と諏訪氏。社員に対して尽くすような、この姿勢が実は同氏のリーダーシップの源泉になっている。

 「先日、こんなことがありました。飲み会で、社員たちが『自分たちの技術はすごいと思っているし、材料が金属であれば、どのようにでも加工できる』『普段は消費者の目につかないものを作っているけれど、福祉のような分野で困っている人が使えるようなものを作れば、もっともっと世の中のお役に立てるんじゃないか。自分が作ったものを使ってもらって喜んでいる姿を見たら、もっと本業でも頑張れると思う』と話していたのです」と諏訪氏は飲み会での様子を語る。

 ダイヤ精機が作っているものはゲージ(測定具)や治具などで、一般の消費者が目にするような表舞台には出てこないものが多い。だが、金属のオーダーメードが得意な会社なので、何かしら福祉の役に立つものを作ることはできる。そうした会社の事情の中で、社員が語ったこの思いは実現させなければいけないと感じ、諏訪氏は即座に行動した。

 「次の日に区役所に電話をかけて福祉施設を紹介してもらい、3日後には施設を訪れて障害者の方々の話をお聞きしました。現在、ボランティアとして補助具を作らせていただいています。当の社員は、『飲み会のときの話が、こんな大ごとになっちゃったんだぁ』って笑顔で驚いていました」(諏訪氏)

諏訪 貴子(すわ・たかこ)
ダイヤ精機株式会社 代表取締役
 1971年東京都生まれ。大学卒業後、大手メーカーでエンジニアとして働く。1998年にダイヤ精機に入社するも、人員削減などで父である創業社長との意見の相違からリストラされる。2000年に2度目の入社をするが、再びリストラ。こうした経験を経て、2004年に父の逝去に伴いダイヤ精機の社長に就任。2代目経営者として業務改革と風土改革に取り組み、同社の業績を回復させた。2011年より、経済産業省・産業構造審議会委員。2012年に『日経ウーマン』誌の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2013」大賞を受賞。著書に『町工場の娘 主婦から社長になった2代目の10年戦争』(日経BP社)がある。
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