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変化が激しい時代には「実践知」リーダーが求められる【後編】――動きながら考える「知的体育会系」を目指せ(1/4ページ)

2014.02.24

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前編より続く)

 知識経営の生みの親として知られる野中郁次郎・一橋大学名誉教授のインタビュー後編。前回は、イノベーションには主観や信念が重要であること、組織的知識創造のプロセス「SECIモデル(セキモデル)」はイノベーションのプロセスそのものであること、そして、知識創造には「実践知」を持つリーダーが必要なこと――を聞いた。今回は、企業経営における実践知リーダーの役割、そして実践知を最大限に生かすための組織構造などを語っていただいた。

デシジョンメイキングより、実践に即したジャッジメント

――実践知によって普遍的な「正解」が導き出されるわけではなく、その時々の状況や文脈、そしてそこに関わっている人々の価値観によって答えは変わるということでしょうか。

野中郁次郎 一橋大学 名誉教授

野中郁次郎 一橋大学名誉教授(以下、野中) 実践知は、その時々で変化する環境の中で、その前後の事象の関係性、つまり、その時々のコンテクスト(文脈)を読み解きながら賢いジャッジメントをする能力です。コンテクストとは、人と人とが相互作用する環境のことで、組織においては、組織構造やそこで働く個人の価値観、パワー関係、仕事の性質(挑戦度)などを含むダイナミックな状況のことです。

 ですので、同じ出来事に遭遇した場合でも、そこに関わる人たちのコンテクストによって答えは変わってくるわけで、場を共有しながら意味を洞察しつつ、共通善にむけた「よりよい」合意形成の対話力が問われるのです。たとえば、顧客の「結構です」という言葉は、はたして「要る」のか「要らない」のか、ダイナミックな関係性のなかでしか判断できないのです。こうした能力を備えたリーダーが存在してこそ、SECIモデルのスパイラルが高速に回転し、その結果としてイノベーションも生まれやすくなります。

 リーダーの条件というと、従来は意思決定力、すなわち、デシジョンメイキングの能力が重要とされてきました。しかし、環境がダイナミックに変化する現在は、それ以上に、その時々の文脈に応じた意味を読み取り、適時適切な判断を行うことができる能力、すなわち、ジャッジメントの能力が必要となります。アリストテレスが提唱したフロネシス(実践知)は、このジャッジメントを行う能力と同じものだといえます。

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野中 郁次郎(のなか・いくじろう)
一橋大学 名誉教授
米クレアモント大学大学院 ドラッカー・スクール 名誉スカラー
早稲田大学 特命教授
1935年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造(現・富士電機)を経て、米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院で博士号を取得。南山大学、防衛大学校、北陸先端科学技術大学院大学、一橋大学大学院国際企業戦略研究科の教授を経て、2006年4月に一橋大学 名誉教授となる。早稲田大学特命教授を併任。2002年、学術研究や芸術・文化などの分野で顕著な功績のあった人に贈られる紫綬褒章を受章。2008年5月Wall Street Journal紙「最も影響力あるビジネス思想家トップ20」にアジアから唯一ランクイン。2010年秋、瑞宝中綬章を受章。2013年11月に最も影響のある経営思想家50人を選ぶThinkers50のLifetime Achievement Award(生涯業績賞、功労賞)を受賞。現在も精力的にグローバルな視野で研究を行っている。
 『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社)『アメリカ海兵隊』(中公新書)『知識創造企業』(共著、東洋経済新報社)『イノベーションの本質』(共著、日経BP社)『イノベーションの知恵』(共著、日経BP社)『流れを経営する』(共著、東洋経済新報社)など著書多数。
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