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未来を切り拓く「未知への挑戦」ビジネス

企業に「自前衛星」の時代がやってくる。すべての始まりは「アルミ缶衛星」【前編】(1/6ページ)

2013.12.19

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 東京・神田小川町にある商業ビルの7階。重さ数十キロの「超小型人工衛星」を開発するベンチャー企業「アクセルスペース」がある。初めて開発した商用超小型衛星の打ち上げは2013年11月に成功。同社の活動は本格的な第一歩を踏み出した。代表取締役CEOの中村友哉さんに、商用超小型衛星がもたらす意味、開発の経緯などについて聞いた。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
構成/宮島 理

北極海の氷の動きを観測し、北極海の航海に生かす

――2013年11月21日、ロシアで打ち上げられた「WNISAT-1」(気象情報会社「ウェザーニューズ」と共同開発)は世界初の商用超小型衛星ですが、どんな人工衛星でしょうか。

アクセルスペースの代表取締役CEO、中村友哉さん。1979年生まれ。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。在学中、超小型衛星XI-IV、XI-V、PRISMの開発に携わる。2008年にアクセルスペースを設立(撮影:中野和志)

中村友哉さん(以下、中村) 北極海の氷の動きを観測するのが目的です。温暖化の影響で夏の北極海の海氷面積は次第に縮小していて、新たな航路の開拓が期待されています。

 すでに砕氷船のエスコート付きで、通常船舶が試験航海を行っています。今後航路ができれば、何百隻、何千隻の船が北極海を通ることになると言われています。

 日本からヨーロッパへの航路を考えると、現在は南下してマラッカ海峡、スエズ運河を通り、非常に長い道のりを進んでいくしかありません。北極海航路が実現すれば、だいたい距離にして3分の2くらいになります。時間にして2週間くらい短縮できます。

――コストも大幅に削減できそうですね。

中村 当然、燃料費は大幅に削減できますし、人件費も浮きます。1航海当たり最大で1000万円くらいの費用が節約できるという計算もあります。

 ただ、たとえ北極海航路ができたとしても、氷がまったくなくなるわけではありません。何の情報もなく進むと、氷山に衝突する危険性もあります。

 氷山は1日に10~20キロ動くこともありますから、海氷がどういう分布をしているかを把握することはきわめて重要なんです。

 そこで、北極という厳しい環境では人間が常駐して海氷を観察するのは難しいので、人工衛星を使って上空から観察するのが一般的になっています。

質量10kgの超小型衛星「WNISAT-1」。青色、緑色、赤色の可視光バンドと近赤外光バンドのカメラを搭載し、北極海の海氷の状態を観測する。一辺27センチに立方体だ(提供:アクセルスペース、以下同じ)
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