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ニコンのDNAは「光学とメカニズム」。カメラが電気製品になってはいけない【前編】(1/6ページ)

2013.11.28

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 大型の機械式ダイヤルと直線的なフォルムが印象的なデジタル一眼レフカメラ「Nikon Df」。社名ロゴを隠せば、どれも似たり寄ったりの外観で違いがわかりにくいデジタル一眼レフのなかで、Dfは「精密機械としてのカメラ」の斬新な仕上がりが際立つ。実はこのカメラ、「ニコンのDNAとは何か」を考えて開発されたものだった。一眼レフ開発30年の後藤哲朗ニコンフェローに、Df開発のコンセプトやエピソードについて聞いた。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
構成/宮島 理

メカニカルダイヤルの操作を愉しむ

――デジタル一眼レフカメラ「Nikon Df」は直線的なフォルムに大型のメカニカルダイヤルが印象的です。まずは開発の背景について聞かせてください。

ニコンフェローで後藤研究室長の後藤哲朗さん。1973年、ニコン(当時、日本光学工業)入社。F3からD3系までの一眼レフのほか、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラなどの開発を指揮。2009年執行役員・映像カンパニー副プレジデントを退任、ニコンフェローに就任して後藤研究室を開設。プライベートで愛用するデジタル一眼レフはD700だという(撮影:中野和志)

後藤哲朗さん(以下、後藤) ニコンに何が必要かを考えると、「ニコンのDNAとは何か」という議論になります。つまり、ニコンの存在価値ですね。それは「光学とメカニズム」だと私は考えています。

 Dfの開発は2009年に始めました。当時はすでにデジタルカメラが全盛の時期で、電機メーカーもデジタルカメラを手がけており、無線技術などの点では電機メーカーの方がはるかに先を行っているという状況でした。

 もちろん、われわれもお金を払えば電機メーカーからそうした技術を提供してもらえますし、あるいは共同開発すれば手に入ります。

 しかし、そこで終わってしまえばカメラ好き、写真好きがイメージするような「写真機」というカテゴリーは成立しなくなってしまいます。カメラが「写真機」ではなく、電気製品になってしまう。ニコンが提供するものは電気製品ではいけないのです。

 「写真機」というものに一度立ち返り、デジタルカメラだけれども写真を撮る「道具」というところに重心を置いて考えてみました。すると、すぐにDfにつながるアイデアが次々にわいてきました。「道具感を味わえるようなものを作る必要がある」ということをコンセプトに、具体的な設計につなげていったのです。

 「光学とメカニズム」に支えられたニコンのDNAを、現在のデジタルカメラでどうにか具現化したい。そこで採用したのがメカニカルダイヤルでした。手応えのある直感的な操作性が可能となり、撮影者はカメラ設定を常時視認したうえで、操作自体を愉しみながら撮影できるようになっています。

精密機械のイメージが漂う「Nikon Df」。ニコンFXフォーマット(35mmフルサイズ)のCMOSセンサーは有効1625万画素で、フラグシップ「D4」と同じものを採用した。シャッタースピードは1/4000~4秒、メインコマンドダイヤル使用で30秒まで可能。連続撮影速度は最高約5.5コマ/秒。質量は約765グラム(バッテリー、SDカード含む)。写真を撮る愉しみに特化するため、動画記録機能はない。2013年11月28日発売(提供:ニコン、以下同じ)
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