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世界が注目する南海トラフ、“虎の穴”の「ちきゅう」が物質科学的にアプローチ【後編】(1/7ページ)

2013.09.11

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前編から続く)

 世界の地震学者が注目する紀伊半島沖の南海トラフ。地球深部探査船「ちきゅう」は今年から来年にかけて海底下4000~5000メートルほどを掘削する予定だ。巨大断層の滑り面から試料を直接取り出し、分析するという物質科学的なアプローチにより、巨大地震発生のメカニズムを探る。
 前編に続き、海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球深部探査センター(CDEX)で「ちきゅう」プロジェクトを統括する東垣センター長、同センター企画調整室の倉本真一次長に、これまでに得た知見や研究体制などについて聞いた。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
構成/宮島 理

堆積物中の有機物に350度超の熱の痕跡

――地球深部探査船「ちきゅう」で「南海トラフ地震発生帯掘削計画」を進めていますね。

「紀伊半島沖は歴史的にみて南海地震のトリガーとなってきた場所」と語る東垣(あずあ・わたる)地球深部探査センター長 撮影/中野和志

東垣センター長(以下、東) 紀伊半島沖の南海トラフを調査対象としています。これは歴史的に紀伊半島沖が南海地震のトリガー(引き金)となってきた場所です。南海地震のきっかけとなる領域を中心に、掘削計画を進めています。

 南海地震を起こす可能性として、二つの大きな断層が考えられてきました。一つは「分岐断層」(断層から枝分かれした断層)と呼ばれるもので、もう一つは「デコルマ断層」(プレート境界の断層)です。このどちらの断層が滑り南海地震を引き起こすのかが、非常に大きな問題でした。

 これを調べるため、「ちきゅう」でこれまで掘削を行ってきました。得られた試料(堆積物)に含まれる有機物を調べてみると、かつてどれだけの熱を被ったかを知ることができます。調査の結果、分岐断層とデコルマ断層の両方に350度を超すような痕跡が見られました。

 海底の中ではどう考えても、350度を超えるような温度になることはありません。唯一可能性があるのは、地震に伴って断層が滑ったときの摩擦熱です。

 つまり、分岐断層もデコルマ断層も、どちらも滑る可能性があるということがわかりました。さらに、まわりの地層を調べてみると、1944年の東南海地震のときに断層が滑った可能性があることも明らかとなってきました。

「ちきゅう」による掘削地点のイメージ。ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが年間約4センチの速さで沈み込む。二つのプレート境界にある断層が「デコルマ」、断層が枝分かれしたところが分岐断層と呼ばれる 提供 JAMSTEC
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