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未来を切り拓く「未知への挑戦」ビジネス

「光造形」で有望な医療分野。その一方で、マイ指輪や孫のフィギュアの需要も?【後編】(1/6ページ)

2013.05.28

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前編から続く)

 「3Dプリンター」のブームは意外な広がりを見せる。その一つのエピソードが、ある一般女性から問い合わせのあった「鍋は作れますか?」だ。新横浜のビジネス街で365日、24時間体制で、新しいものづくりに取り組むプラスチック部品製造会社「JMC」の渡辺大知社長に、前編に引き続き、日本版「3Dプリンター」革命の話をうかがった。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
文・構成/宮島 理
撮影/中野和志

ものづくりは理髪業と似ているところがある

――渡辺社長は元プロボクサーという経歴をお持ちですね。ものづくりの知識は、どのようにして身に付けたのですか。

渡辺大知・JMC社長はファイティング原ジムの門を叩き、19歳でプロボクサーとしてデビューした異色の経歴を持つ。「鳴かず飛ばず」の現役を引退後、両親の営む保険代理店でものづくりの面白さを知ったという

渡辺大知社長(以下、渡辺) 仕事をやりながらです。当時、「光造形」は新しい技術でしたので、関連書籍もありませんでした。ネットを使って情報を仕入れたり、詳しい人に質問を投げかけたりして、試行錯誤しながら技術を覚えていきました。

――どのあたりが特に難しかったですか。

渡辺 たとえていえば、床屋さんと同じなんです。床屋も、ものづくりも、抽象度の高い仕事という点では似ています。

 床屋で髪を切る時、お客さんは理容師さんに「こんな風にしてください」と言いますが、実はお互いのイメージは一致していませんよね。髪を切り終わった後に「これでいいですか」と言われても、今さら修正できるわけにもいきませんから、半分諦めの境地になるじゃないですか(笑)。もし自分の抱いていたイメージ通りにならなければ、お客は二度とその床屋には行きません。

 ものづくりも同じで、注文する側と受ける側の期待値の不一致をなるべく近似させていく必要があります。それが達成できれば、注文するお客さんはリピーターになると私は考えています。そういう感覚を大切にして、仕事上のコミュニケーションを十分に取りながらやってきました。

光造形装置で、エポキシ樹脂液に紫外線レーザーを当て心臓モデルを作成しているところ
3Dプリンターとメイカーズムーブメント
 インクを噴き付けて平面に印刷する通常のプリンターになぞらえ、熱で溶かした樹脂をノズルから出して積層していき、立体形状を作成するのが「3Dプリンター」。熱溶解積層法とも呼ばれる。幅広い意味では、紫外線硬化型のエポキシ樹脂液に紫外線レーザーを当てて立体形状を作成する「光造形」、粉末の金属などにレーザーを当て焼結させて立体形状をつくる「レーザー焼結法」も「3Dプリンター」に含まれる。
 『WIRED(ワイアード)』US版編集長クリス・アンダーソンの著書『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(NHK出版)では、「未来の起業家や発明家は、アイデアを製品にしてもらうために、大企業のお情けを乞う必要はない」とし、ウェブ世代が3Dプリンターを使って新産業革命を起こすと説く。
 メイカーズムーブメントの特徴として、(1)デスクトップのデジタル工作機械を使ってモノが試作できる(デジタルDIY)、(2)デザインをオンラインのコミュニティで共有できる、(3)デザインファイルが標準化される――の三つを挙げる。
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