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未来を切り拓く「未知への挑戦」ビジネス

意外性にあふれた「3Dプリンター」革命の現場。保険代理店業からものづくりへ【前編】(1/5ページ)

2013.05.17

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 JR新横浜駅から徒歩5分ほどのビジネス街。ごく普通のオフィスビルの1階に日本版「3Dプリンター」革命の現場がある。光造形や3Dプリンターで365日、プラスチック部品を製造する会社「JMC」。CT(コンピューター断層撮影装置)データをもとに頭蓋骨や心臓のモデルを作り、CADデータから自動車部品の試作品を作成するなど、日本のものづくりを支える。JMC社長の渡辺大知氏に新しいものづくりの世界に飛び込んだ経緯や新プラスチック成形技術の特徴について聞いた。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
文・構成/宮島 理
撮影/中野和志

渡辺大知・JMC社長は「形を見るとか感触を確かめるといった点では、もっとも早くでき、もっとも精度が良いのが光造形ですね」と語る。手前右が自動車部品のエキゾーストマニホールド、左が心臓のモデル
[画像のクリックで拡大表示]

当初は保険代理店、ものづくりの口利きビジネスも

――個人や小規模事業者でも、革新的なものづくりが期待できるということで、3Dプリンター(下の「囲み記事」参照)が注目を集めています。JMCでも、3Dプリンターを使った樹脂部品の製造を行っているとのことですが。

渡辺大知社長(以下、渡辺) 売り上げの割合としては、3Dプリンターや光造形による樹脂部品が4割、鋳造による金属部品が6割となっています。昨年度の総売上高は6億2000万円でした。

――金属部品はどのようなものを?

渡辺 アルミ鋳造とマグネシウム鋳造によるもので、軽量化やリサイクルエネルギー(廃棄物からエネルギーを取り出し、熱や電気に変換して使用する技術)といった領域で需要があります。2004年に長野県飯田市に工場を建て、そちらで鋳造による金属部品を製作しています。

――JMCの設立は1992年とのことですが、最初から樹脂部品を手がけていたのですか。

渡辺 実は、当初は保険の代理店でした。代理店をしていると、生保・損保のお客さんとの間で、製造に困っている人、ものを作りたい人、ものを作れる人という具合に、漠然とですが、ものづくりを軸とした関係ができていました。

 たまたま口利きでものづくりの手配をするようになり、手数料をいただきながら口利きビジネスが次第に増えていったというわけです。99年には、その口利きビジネスだけで、売り上げの5~8%を占めるようになりました。

 といっても、当時の弊社は父が一人でやっている会社でしたから、売り上げ自体はわずかなものです。

3Dプリンターとメイカーズムーブメント
 インクを噴き付けて平面に印刷する通常のプリンターになぞらえ、熱で溶かした樹脂をノズルから出して積層していき、立体形状を作成するのが「3Dプリンター」。熱溶解積層法とも呼ばれる。幅広い意味では、紫外線硬化型のエポキシ樹脂液に紫外線レーザーを当てて立体形状を作成する「光造形」、粉末の金属などにレーザーを当て焼結させて立体形状をつくる「レーザー焼結法」も「3Dプリンター」に含まれる。
 『WIRED(ワイアード)』US版編集長クリス・アンダーソンの著書『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(NHK出版)では、「未来の起業家や発明家は、アイデアを製品にしてもらうために、大企業のお情けを乞う必要はない」とし、ウェブ世代が3Dプリンターを使って新産業革命を起こすと説く。
 メイカーズムーブメントの特徴として、(1)デスクトップのデジタル工作機械を使ってモノが試作できる(デジタルDIY)、(2)デザインをオンラインのコミュニティで共有できる、(3)デザインファイルが標準化される――の三つを挙げる。
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