前回は、アベノミクスにおいて企業の競争力強化がカギを握るという話をしました。日本企業の事業構造について、もう少し踏み込んで分析をしてみましょう。

過去10年間でサムソンがソニーを逆転

 今でこそ、日本企業は苦杯をなめていますが、絶好調と言われる韓国のサムスン電子も少し前まではどん底にいたことを忘れてはなりません。アジア通貨危機に伴って1998年に韓国が国際通貨基金(IMF)の支援を受け入れた後、2000年頃にはサムスンは倒産寸前まで追い込まれました。

 その後のサムスン再生にあたって、ソニーがサムスンに手をさしのべ、液晶ディスプレイを一緒に開発するといったことが行われたりしました。10年後にサムスンがソニーを上回るとは、誰も想像していませんでした。

 2000年代に新興国が台頭し、世界経済が拡大していく中で、サムスンは新しい世界のニーズをかぎ取り、それに合わせた事業転換を大胆に進めました。海外進出も加速させています。アジアはもちろんのこと、アフリカにも積極的に出て行っています。世界各国でデザイナーを雇い、各地域に合ったデザイン・製品設計を推し進めていきました。

 一方、その頃の日本企業は、それまでのやり方を肯定し、踏襲していくだけでした。これまで度々、指摘したように2003〜07年のサブプライム・BRICsブーム下での日本輸出の拡大で、日本企業は事業構造の転換の必要性を看過してしまったのです。

 この結果、日本企業は競争力を落としていくことになってしまいました。リーマンショック後に過剰供給が顕在化し、賃下げが起き、雇用が減り、消費が減ってデフレが再燃したのです。

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