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「第2の山中伸弥」が誕生しないと日本のiPS細胞研究は世界に勝てない【後編】(1/5ページ)

2013.03.07

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前編から続く)

 もともと物理学に興味を持っていたという岡野栄之・慶應義塾大学医学部教授は、なぜ医学の道へ進み、iPS細胞研究の第一人者になったのか。日米を中心に激しいiPS細胞研究が展開されるなか、日本がその競争に打ち勝つにはどうすべきか、などについて話をうかがった。

インタビュー/長坂邦宏 nikkei BPnet編集
文・構成/宮島 理
写真/中野和志

大学で勉強したかったのは理論物理学

――高校時代は物理学にご関心があったそうですね。物理学を志していたところから、どのようにして生命科学の世界へと足を踏み入れるようになったのですか。

「次世代の研究者が新しいブレークスルーを起こしていかないと、日本がリーダーシップを発揮し続けることは難しい」と語る岡野栄之・慶應義塾大学医学部教授
撮影/中野和志

岡野栄之教授(以下、岡野) 私は中学の時から物理学には興味を持っていて、将来はそちらの方向に進みたいと考えていました。数学が得意で、アインシュタインに憧れていたんです。

 高校は慶應の附属高校に入ったのですが、進学先として慶應義塾大学を調べてみると、物理学をやる理学部が当時はなかったんですね。工学部はありましたが、私がやりたいのは理論物理学だったので、進路選択について非常に悩みました。

 慶應以外の大学を受験して物理学科のあるところに行く手もあったのですが、慶應の各学部の説明会を聞いているうちに、だんだんと考えが変わっていきました。最初はあまり興味がなかった医学部の説明会に参加してみたところ、医学研究のおもしろさを教えられたんです。「医学研究とは究極の生命科学だ」ということを医学部の先生がおっしゃっていたのが印象に残っています。

 ちょうどその頃、ノーベル物理学賞を受賞したエルヴィン・シュレーディンガーが書いた『生命とは何か 物理的にみた生細胞』という本を読んで、物理学的なコンセプトで生命科学を研究できるということを知りました。いってみれば、生命現象というのも物理現象の総和と考えれば、物理学の範疇ということになるわけです。そうなれば、慶應義塾大学の医学部で生命科学に学ぶということと、物理学をやるということに、それほど差はないかもしれない。そう思って、慶應の医学部に進学したんです。

 いざ医学部に入ってみると、否が応でも病気のことを勉強することになります。私自身、親をがんで亡くしたということもありまして、がんに興味を持つようにもなりました。また、私の父の恩人が脊髄損傷になり、神経系の病気を治したいという気持ちも抱くようになりました。そのうえで、もともと物理学に興味があったため、医学研究の中でも神経系の分子生物学を専門にしていったというわけです。

岡野栄之(おかの・ひでゆき)氏
慶應義塾大学大学院医科学研究所、同大学医学部生理学教室教授
 1959年1月26日生まれ。83年3月、慶應義塾大学医学部卒業。同4月、同生理学教室助手。85年8月、大阪大学蛋白質研究所助手。89年10月、米ジョンス・ホプキンス大学医学部生物化学教室研究員。その後、東京大学医科学研究所助手、大阪大学医学部教授などを経て、2001年4月に慶應義塾大学医学部生理学教室教授。07年10月、同大学大学院医学研究科委員長。10年3月、内閣府・最先端研究開発支援プログラム「心を生み出す神経基盤の遺伝学的解析の戦略的展開」の中心研究者。
 04年イタリアCatania大学よりDistinguished Scientists Award受賞、06年文部科学大臣表彰・科学技術賞受賞、07年Stem Cells誌よりLead Reviewer Award受賞、09年紫綬褒章授章など多数。

岡野研Weblog
慶應義塾大学 幹細胞医学のための研究拠点

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