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米倉誠一郎 新しい日本企業のためのイノベーションビジネス

米倉誠一郎:第6回 世界に広がり、社会に貢献する日本のソーシャル・パワー(6/7ページ)

2012.08.30

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企業の社員を海外のNPOへ「留職」させる

 このようにBOPビジネスの先陣を切っている日本が誇るべき非営利団体がいる一方で、企業側とBOPの非営利団体が相互に学びあう場を提供しているNPO法人(特定非営利活動法人)もあります。

 NPO法人「クロスフィールズ」は「留職」プログラムと呼ばれる活動を行っています。「留職」とは、一般企業の社員を海外の非営利団体などに留学ならぬ「留職」させるものです。

 「クロスフィールズ」を始めたのは小沼大地さんという今年30歳になる若者です。教員志望だった彼は、一橋大学大学院を卒業後、教員としての見識を広めるためまず青年海外協力隊に入り、シリアに派遣されました。そこで目にしたのは現地NPOやそこで働くボランティアたちの生き生きとした姿でした。

 しかも、その現地NPOを支援するためにドイツのコンサルティング企業からボランティアとして派遣された専門家たちが素晴らしかった。小沼さんは、こうした海外からの専門家と現地ボランティアがお互い輝きながら働く姿を日本でも再現したいと考えたのでした。

 この「留職」というアイデアに共感したパナソニックは、まず1人の若いエンジニア社員をベトナムの非営利団体に派遣しました。この非営利団体は、ベトナムの無電化地区で太陽光を使ったコンロの開発・設置を進めており、その技術的アドバイスをするのが目的でした。

 派遣されたのは1人のエンジニアでしたが、その後ろにはネットを通して国内の若い社員とも協力する体制になっていました。すると、コンロ開発の様子を見ていたパナソニックのベテラン社員たちが、「俺たちにも手伝わせろ」と参加するようになり、気づけばパナソニック内に多様な技術支援チームができあがっていたそうです。

 結果的に、この「留職」を通じてパナソニックの多くの社員がBOPビジネスの現場に触れることとなっただけでなく、社内に思わぬ活性化が生まれたのでした。現在「留職」プログラムには、パナソニックをはじめテルモ、ベネッセ、日立製作所などが提携を申し入れています。

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