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【Q.75】オバマ大統領の「グリーン・ニューディール政策」をきちんと教えて。

2010.04.15

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A. 「チェンジ」をスローガンに掲げて大統領に当選、2009年1月20日の就任式から早1年以上がたつ米国第44代、バラク・オバマ大統領――。

 就任前から、様々な独自の政策を打ち出して、話題を作り出していた。就任当初は金融や自動車業界の危機に手一杯であった感もあるが、ノーベル平和賞受賞を経て、先頃の医療保険制度改革の実現やロシアとの間で核兵器削減を進めるなど新しい動きを見せてきている。

 そのなかで「グリーン・ニューディール政策」はどうだろうか。大統領に当選した当時は話題になったが、最近あまり聞かない。一体、グリーン・ニューディール政策はどうなっているのだろうか?

 「グリーン・ニューディール」の「グリーン」は、自然や環境を意味する。「ニューディール」は、1929年から始まった世界恐慌時に、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が打ち出した公共事業などを中心とした景気・雇用政策の名称である。

 2008年以降の、ウォール街に端を発する世界的な金融危機と景気後退に直面して、かつての大恐慌のイメージが人々の頭によぎるなか、新たな景気刺激策として掲げられたのが、環境版ニューディール政策、つまり「グリーン・ニューディール政策」だった。

 だが「グリーン・ニューディール政策」は、オバマ大統領のオリジナルというわけではない。英国を中心に活動する「グリーン・ニューディール・グループ」(The Green New Deal Group)が、「ニュー・エコノミック財団」(the new economics foundation)を通じて発表したリポートが基になっている。

 この「グリーン・ニューディール・グループ」は、各方面から金融・経済、エネルギー、環境などに関する専門家が集まり、地球環境保護を中心に新たな経済政策を模索、提言しているグループだ。税制を含めた各国と国際間の金融システムの構造的変換や、省エネや再生可能エネルギーへの継続的な投資などを提唱している。その根源にあるのは現在の金融システムへの懐疑と、地球温暖化や化石燃料の枯渇といった問題への挑戦である。

 同リポートは世界的な注目を集め、国際連合環境計画(United Nations Environment Programme)にも採用された。

 2008年10月には、「グローバル・グリーン・ニューディール」として、環境経済政策を提言する「グリーン・エコノミー・イニシアチブ」というリポートにまとめられた。それが潘基文国連事務総長にも取り上げられている。

 そしてオバマ大統領の「グリーン・ニューディール政策」である。大統領選挙前から環境を重視したエネルギー政策を強く打ち出していて、「米国のための新しいエネルギー」(The New Energy for America)として、代替・再生可能エネルギーの利用・開発促進、エネルギー効率向上、温室効果ガス削減、プラグイン・ハイブリッドカーの普及などを訴えていた。

 これが、オバマ大統領の「グリーン・ニューディール政策」といわれたものだ。10年間で1500億ドルの投資を行い、新たに500万人の雇用を環境ビジネス関連で生み出すとした。その中には、コンピューターとセンサーで自動管理された電力供給網を構築する計画「スマート・グリッド」も含まれる。

 就任前のラジオ放送では、政府施設や公共施設に対してエネルギー利用効率を高める投資をするともしている。そして就任演説では、再生可能エネルギーについて、太陽電池と蓄電池、風力発電に注力すると述べた。CO2の排出権取引の導入も進めている。

 さらに、前ブッシュ政権時にEPA(Environmental Protection Agency:環境保護庁)が却下した、カリフォルニア州の排ガス規制案を再検討させた。同案は排ガス規制としては初めて、地球温暖化の原因といわれる温室効果ガスの一つ、二酸化炭素(CO2)を規制の中に盛り込んでいた。

 2010年4月には、地球温暖化対策の一環として、2012年型の新車から、年平均5%の燃費向上を求めることを発表した。現在より平均燃費を30~40%向上することを目論んでいる。単なる省エネだけでなく、次世代技術としてのプラグイン・ハイブリッドカーや電気自動車の開発促進も含み、自動車産業に大きな影響を与える内容になっている。

 少しずつ動き出したかに見える、オバマ大統領の環境・経済政策「グリーン・ニューディール政策」。世界の環境、経済に与える影響を考えても、その動向から目が離せない。

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