ビジネス系の心理ハックは、表面的な心のもち方や思い入れのあり方のトリックが多い。だが身も蓋もない言い方をすれば、心理ハックなどなくても、自由にできるおカネさえあれば心は落ち着くものだ。

ビジネスでどんなに困っても、自分には年収の二倍のストックがあるというのは強い自信となって支えてくれる。
ビジネスマンでも年齢やキャリア、会社のポジションによって違うが、フロー化可能なストックを年収の2倍の金額で持てるようになると、ビジネスに向かう心のゆとりが変わってくるし、難しい判断が迫られるときに大胆な行動が取れるようになる。
年収の2倍分フロー化可能なストックを持つというのは、例えば年収が800万円なら1600万円は自由にできる財産を持つことだ。そんなのは難しくないと言う人もいるだろうが、無理だと思う人のほうが多いに違いない。しかし、その気構えが必要になるシーンは想定してみてもよい。一番ありそうなのは、会社を辞めるという決断を支える根拠だ。年収の2倍あれば、会社を辞めることは難しくない。
ここに逆説がある。実際に年収の2倍のストックを持つ状況を達成すると、ヤケをおこして会社を辞めるという無謀なことはしなくなる。お金をストックしていく過程でおカネに対するマネージメントの感覚が身につくし、自分を的確に会社のリソース(資源)として見られるようになるからだ。自分というリソースが会社のなかでどのように稼いでいるのか、会社を出た場合どれだけ稼げるリソースなのかが年収の枠組みで客観化されてくる。
では、どうやって年収の2倍のストックを作り出すか。残念ながらカネにうまい話はない。給料を積み立てていくしかない。会社に財形制度があるなら利用して天引きにするのが一番の近道だ。そうでなければ地味に貯金をする。単純に考えるなら給料の2割を貯蓄していけば、5年後には年収分のストックができる。10年すれば年収の2倍になる。もっとも、そのころには住宅などを購入してもいいが、ポイントはストックをフローに変える状態を念頭に置くことだ。
結局、年収の2倍のストックができるのはビジネスマン10年選手ということにもなるかもしれないし、年収分くらいが精一杯ということにもあるだろう。しかし、きちんと自分が自由になるカネを積み上げた人間からは、じわっとした大人の雰囲気のようものが出るようになる。



テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。1990年前半友人と翻訳・テクニカルライティング事務所を経営。1994年末、インターネットによる遠隔地業務可能に合わせフリーランスとなり沖縄に移住。2002年東京に戻り現在に至る。「日経クリック」(現在休刊中)で10年間Q&Aを担当。日経トレンディネット











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