2008年1月10日

忙しい上司を活用するコミュニケーション法

前倒し仕事術<第4回>

Q
上司が「今は忙しい」と言って話を聞いてくれない

顧客に新商品を提案するため、上司に提案資料をチェックしてもらい、承認を得たいのに、上司は「今は忙しい。後にしてくれよ」と言うばかりで取り合ってくれません。どうしたらいいでしょうか。このままでは私の営業活動が進みません。(32歳、男性、営業職)

A
落ち着いて、言いたいことを繰り返し伝えよう

 忙しそうな上司に遠慮し、仕事に必須なコミュニケーションさえ取れず、業務が滞っていますね。この状況をアサーティブネスの視点から打開するポイントは、スタンスを変えることです。

 上司が忙しそうだからといって、「私は後でいいです」と消極的になっていたら、いつまで経っても仕事は前に進みません。なぜなら、上司は常に忙しいものだからです。

 部下は自分の中にしっかりとした主張の「軸」を持って話す必要があります。相手がどういう状況にあっても、「今日中にこれを見てもらわなければ仕事を次に進められない」という信念を持ち、相手に何と言われても落ち着いて主張を繰り返すのです。

 ただし、部下が上司の多忙さを認識していることを十分に伝えられなかったり、自己中心的に自分の言い分を言い張ったりすると、「だから忙しいと言っているじゃないか」と逆切れをされる恐れがあるので注意しましょう。

 上司の顔をしっかり見て、真剣な顔で伝えることで、上司の注意をより喚起しやすくなります。

ダメな伝え方

部下 部長、これを承認していただきたいんですけど…。

上司 ごめん。今は忙しいから、後にしてくれる?

部下 難しそうですか?

上司 5分後に会議があるんだよね。

部下 分かりました。すみません。

アサーティブな伝え方

部下 部長、この提案資料を確認していただきたいのですが。

上司 見るのに時間がかかりそうだから、後にしてくれる?

部下 とても重要なので、なんとか見ていただけないでしょうか。

上司 そうなの?でも、今、こっちの仕事をやらないといけないんだよ。

部下 そうですか。…では、その仕事の後で見ていただきたいのですが。

上司 5分後から2つ会議が続いているんだ。

部下 2つも会議があるんですね。そんなにお忙しいところとても恐縮なのですが、お得意様に渡す大事な提案書なんです。今日の午前中に、5分でいいのでお時間をいただけませんか?

上司 …午前中か…。

部下 午前中に見ていただければ、午後からお客様を訪問することができます。部長の承認なしには始められません。5分で構いません。

上司 そうか…、分かった。では、移動する時、タクシーの中で見て、電話するよ。

部下 お願いします。午前中にぜひお返事を下さい。

上司 分かった。

ポイント

お願いする仕事が重要事項であることをきちんと伝えよう。上司に資料を確認してもらうことが、部署にとって大切なことだからお願いしているのだ、ということを伝える。主張のポイントを繰り返し話すのはとても有効だ。

相手を尊重する気持ちを忘れないように。「見てください」を連呼するのは厳禁。「お忙しいのは分かりますが、こちらもお願いします」「2つも会議があるんですね。それでも…」と、相手の忙しい状況を認識していることも伝えよう。


森田汐生(しおむ)氏

森田汐生(しおむ)氏
NPO法人アサーティブジャパン代表理事

1965年岡山県生まれ。一橋大学社会学部卒業。英国で地域精神医療団体のソーシャルワーカーとして勤務し、滞在中にアサーティブネスの第一人者、アン・ディクソン氏の下でアサーティブネストレーナーの資格を取得。弊誌でも2006年7月から半年間、アサーティブの連載講師を務めた。



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このコラムについて

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