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最強の書類術

【ケーススタディー】〜達人たちの文章術(1)

「トヨタ流文書」、「マインドマップで提案&指示書」

Associe

*問題解決に役立てたい

トヨタ流文書
A3用紙1枚で仕事を改善する

 社内文書はA3用紙1枚に簡潔にまとめる。日経ビジネスアソシエ 2004年11月16日号特集で紹介したトヨタ自動車の不文律だ。最強企業に伝わるビジネス文書術だけに、「どのように書くのか知りたい」という反響が多かったこの文書術について、元トヨタ役員秘書で同社の社内研修も指導していた石井住枝さんに聞いた。

 最も一般的なトヨタ流A3文書では、具体的目標を設定するために、「現状把握」と「要因解析」によって現在の問題点を洗い出す。その上で、問題解決のための「対策」を練り、具体的な「実行スケジュール」まで策定して結びとなる。

 この書式に合わせて、日経ビジネスアソシエ記者が「編集部の出稿時のムダを省く取り組み」をまとめたのが下の文書である。これを石井さんに見てもらったところ、大量の「ダメ」が出た。石井さんが改善の余地ありと指摘した個所には1つの共通点がある。記者が何気なく書いた「(各編集部員が)まとまった時間が作れない」といった表現に対する「なぜまとまった時間が作れないのか、なぜそれが必要なのか」といった指摘が、その典型だ。

※アソシエ編集者が書いた編集部出稿(原稿の提出)状況についての改善案を、石井氏に添削指導していただいた。赤字部分が石井氏の意見。

トヨタ流A3書類

何度も書き直し思考を深化

 石井さんが問題視したのは思考の浅さだと言える。「なぜ」を5回繰り返して真の原因を探るトヨタ流の思考習慣が身についていないアソシエ記者は、問題点を把握するにしても、その原因を探るにしても、表面的な理解で、分かった気になり文書にまとめてしまったのだ。

「トヨタでは作成した文書が1度で通ることはない。徹底的に何度も自分の頭で考えることを要求される」と言うから、トヨタ流文書は、書く者をして、深く調べ考えさせる働きを持つ文書作成の方法論と言える。事実、A3用紙でわずか1枚の文書を書くために、通常の書類で数十枚にも至る基礎データが必要となることが多い。

 大変な手間がかかるためか、実はトヨタの中でも、先輩から後輩へのA3文書の伝承が途絶えがちになっており、これを憂う声をよく聞く。それだけに、この文書術を根気よく実践すれば得るものは大きい。

トヨタ流A3書類の作成・実践の手順

1 【テーマ(上例中の上部のタイトル)】を選定する
2 【現状把握】
現在の問題点を明らかにする。
3 具体的な【目標(ゴール)】を設定する
【現状把握】の結果を踏まえ、具体的な数値で目標を立てる。これを【目的】の項目に反映させる。
4 【要因解析】
【現状把握】を数値で裏づけ、問題点の背景を探る。
5 【対策】を練る
どうしたら目標を達成できるか。問題の解決策を考える。
6 【実行スケジュール】を練る
目標(ゴール)に到達するためのスケジュールを具体的・現実的に記す。役割の分担や、標準化の段取り、何をいつまでに行うかなども詳細に決める。
7 反省と今後の課題の発見
さらなる改善対象を見つけて、新たなテーマを設定する(→再び1へ)。これを繰り返して常に改善・成長を目指す。
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石井住枝氏

石井住枝氏
Sumie Ishii

エフェクト代表取締役

1965年愛知生まれ。トヨタ自動車に17年間勤務。役員秘書から本質を見極めるため技術職に転じる。その後独立し、経営者のブレーン「プロ秘書力講座」を主宰。企業の人財コンサル、リスクマネジメント研修、国際映画祭プロデュース、中央区FMラジオ防災番組など活動。著書に「トヨタの出来る人の仕事ぶり」「プロの仕事術」などがある。http://www.effec.jp/


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