ネット経由の情報発信は会社のファン拡大に効果的な手法である。
そこに書き綴る文章には、読み手を引きつける何かが欲しい。
ビジネスコラムが満たすべき条件は何か――。
マネックス証券社長の松本大さんは7年前からネット上のコラムを書き続けている。海外出張中であろうと、会社にトラブルが発生しようと、営業日には執筆を欠かさない。休まず書き続け、ファンを増やす秘訣はどこにあるのか。4年前からネット上に日記の執筆を続ける日経ビジネス アソシエ編集長の渋谷和宏と語り合った。
渋谷 1800回休まず書き続けているって、すごいですね。

松本 大氏
マネックス証券
代表取締役社長CEO
1963年生まれ。東京大学法学部卒業。ソロモン・ブラザーズ・アジア証券、ゴールドマン・サックス証券を経て、99年マネックス証券を設立。
松本 自分で考えた面白い話とか、エピソードとか、そういう話は書き切ってしまいました。だから新しいネタを見つけないといけない。大変なんですよ。
渋谷 ネタが見つかってから書き上げるまでの時間は?
松本 速い時は5分もかからない。でも何か思いがあって丁寧に書こうと思うと、20分ぐらいかかっちゃう。オチが必要なんですね。最後がイメージできないと書けないんですよ。
渋谷 モチーフが見つかればいいってもんじゃないですよね。
松本 日記なら自分しか読まないけど、「つぶやき」は読み手がいる。一応読み物です。「ふーん」でもいいんですけれども、ちゃんと終わらないと。
渋谷 文章がこなれていますね。
松本 ほかには文章を書かないんです。メールは書きますが、それぐらい。日記も書いたことがない。私の人生の中で、今が一番作文能力が伸びているんじゃないかと。
日本語の間違いを指摘されたことも何回かあります。「耳ざわりがいい」と書いてしまい、「『耳ざわり』というのは耳に障るという意味だ」とお叱りを受けたり。
渋谷 僕も同じ失敗がありました。
松本 批判に耳を傾ければ、否応なしに書き方は変わりますよ。
渋谷 SNSなら、例えば固有名詞を間違えても許されちゃうことがある。カルチャーを共有しているし、優しく読んでくれるから。
そういうところじゃなくて、1字間違えただけで叩かれたりするところで書くことが一番の修練になるんじゃないかと思います。
松本 間違ったことは書けないので、自分で調べます。ですから過去に書いてきたものは、信頼できるデータベースになっている。全部そっくり「秀丸」の1枚のシートに入っていて、検索して読めるので、重宝してるんです。
書くことは勉強になりますよ。自分の考えを整理するので、文章だけじゃなくて、考え方とか、論理性とか、そういう点でも訓練になっていると思います。
渋谷 柔らかく、さっと読めるけど、すごくロジカルですよね。きちっと組み立てられている。
松本 どうしても言いたいことがあるけど、普通に書くと問題になりそうな時には、すごい迂遠な言い方をしたことが何回かあるんです。通じなかった場合もあるし、ちゃんと通じて「全く同感である」と言われたこともある。暗号が通じたみたいな。






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