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超高層マンションの長所と短所(後編)──入居者間の「経済格差」にともなう苦労

建築&住宅ジャーナリスト 細野透
2009年 12月17日

少なすぎる修繕積立金
 

 超高層マンションには大きく7つの短所がある。そのうち、第5の短所は、補修費用が高額になると予想されるのに、「入居時点の修繕積立金が少なすぎる」こと。結果として、途中から値上げせざるを得ないのだが、それを払えない、または払い渋る入居者が現れて、「管理組合が苦労する」ケースが少なくない。

 マンションは当然のことではあるが、定期的に補修しなければならない。財団法人・マンション管理センターによると、鉄部塗装は4年ごと、外壁、バルコニー、屋上、廊下は12年ごと、給排水菅、ガス管、電気設備、給水設備、エレーベーターは20〜30年ごとに補修した方がいい。

 8階建75戸(専有面積69平方メートル)のモデルマンションだと、1戸当たりの補修費用は年額換算で約14万円になる。これを月額にすると、1万2000円程度の修繕積立金が必要になり、1平方メートル当たりだと174円になる。

 しかし、東京カンテイの調査によると、入居時点での修繕積立金の平均値は、首都圏では1平方メートル当たり77円に過ぎない。なぜ、このような安い金額になってしまったのか。

 それは、旧住宅金融公庫の「マンション維持管理基準」に弱点があったためである。同基準では、「建物の経過年数に応じて、修繕積立金の1戸当たり平均月額が一定額以上あること」として、次のような数字を掲げている。

【経過年数──1戸当たり平均月額修繕積立金】

 5年未満──6000円
 5年〜10年未満──7000円
 10年〜17年未満──9000円
 17年以上──1万円

 この旧公庫基準に、多くのデベロッパーや管理会社が引きずられてしまった。基準には1戸当たり専有面積は書いていないので、仮に80平方メートルだとしよう。すると、入居時点において、1平方メートル当たり75円になる。東京カンテイの調査による77円という金額は、基準をわずかに上回っている。しかしながら、マンション管理センターの試算によると、実際に必要になるのは月額174円なのである。

 そもそも、入居者は、マンションを購入する時点では、修繕積立金が安すぎることに気づいていない。そして、入居後に管理組合を結成し、何年か経って補修計画を作成した段階で、初めて修繕積立金が不足することに気づいて、あわてて値上げ策を講じることになる。しかし、入居者のなかには、「今ごろそんなことを言われても」と渋る人が出てきて、管理組合は大もめすることになる。この点において、旧公庫基準は罪作りであった。

 さて、超高層マンションでは、これがどうなるのだろう。最近分譲されている物件では、毎月の修繕積立金とは別に、入居時に「修繕積立基金」を一括払いする方式を採用しているところが多い。それでも、電卓をたたいてみると、入居してから5〜10年後には、修繕積立金を最低でも2倍以上にアップする必要に迫られることになると予想されるのだ。

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