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森永卓郎 厳しい時代に「生き残る」にはライフ

民主党の子ども手当がもたらすプラスとマイナス(4/4ページ)

2009.08.10

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配偶者控除廃止はターゲットを間違えている

 民主党が専業主婦世帯を狙い撃ちした理由は、おおよそ見当がつく。明確な理由はマニフェストには書かれていないが、「専業主婦世帯は贅沢だから、増税しても構わないだろう」という判断があったに違いない。

 だが、本当に民主党の考えるように、専業主婦世帯は金持ちなのだろうか。それは大きな誤解である。

 大金持ちの奥さんが専業主婦をやっているという例はほとんどない。なぜなら、大金持ちは自分の会社を持っていて、妻を会社の役員にしているケースが大半だからだ。会社役員だから、税制上は専業主婦ではない。実際、わたしは大金持ちを何人も知っているが、少なくとも奥さんが税制上で専業主婦をやっているという話は聞いたことがない。つまり、もとから配偶者控除など受けてはいないのだから、配偶者控除をなくしても痛くもかゆくもないのだ。

 では実際に、子どもがいないか、あるいは子どもが中学生以上になっても専業主婦をしているのはどういう人か。例えば、親の介護のために仕事をしかたなく辞めて、家にいなくてはならないという人である。あるいは、兄弟や子どもに障害があったり、いろいろな事情を抱えたりして、やむにやまれず専業主婦をしているケースも多いだろう。今のような時代には、生活に余裕があって専業主婦をしているという人はむしろ少ないのである。こうした人たちは、配偶者控除がなくなったら痛い。

 だから、民主党の考える「専業主婦世帯金持ち論」というのは、わたしは考え直したほうがいいと思う。そんな人はごく少数派なのである。民主党はもう少し丁寧に税制を詰めるべきではないか。

森永 卓郎(もりながたくろう)
森永 卓郎(もりながたくろう)

 1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発総合研究所、三和総合研究所(現:UFJ総合研究所)を経て2007年4月独立。獨協大学経済学部教授。テレビ朝日「スーパーモーニング」コメンテーターのほか、テレビ、雑誌などで活躍。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。そのほかに金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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