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復興ニッポン:「外国人観光客を取り戻せ」――旅行会社の秘策(1/3ページ)

打つ手に苦しむインバウンド業界、起死回生の一手とは?

2011.12.09

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 東日本大震災は今なお尾を引いている。特に外国人観光客を扱う旅行業界はその影響が大きい。震災直後、海外での過剰な報道も相まって、「日本は全土が壊滅し、危険である」と誤解され、海外からの旅行客は、震災から数カ月過ぎた後でもぴたりと止まったままだった。それは明らかに誤認識だが、旅行業界に携わる人々にとっては笑って済ませられるものではない。「本当の日本の現状を外国人の目で実際に見てもらい、世界に伝えてもらおう」――。石川県にある小さな旅行会社が動き出した。

大打撃を受けた国内旅行業界、戻らない外国人観光客

 震災後、国内の旅行業は、現地の被災という物理的な状況に加え、自粛ムードが漂い、急降下の一途をたどった。有名温泉地の老舗旅館が廃業するという衝撃的なニュースが駆け巡ったその陰で、人知れず消えていった旅館、ホテルも少なくない。そこで、ホテルや旅館では、宿泊費の一部を被災地への義援金とする宿泊プランを打ち出し、旅行客の気持ちの負担を軽くするなどの策を実施した。また、将来の宿泊を約束して一部を前払いして支援する「旅館復興サポーター制度『種 たね』」が立ち上がるなど、支援活動も開始された。

 一方、国内旅行業でも外国人観光客を相手にするインバウンド業界は、さらに厳しいものがあった。海外では日本の地理関係を正しく理解する人は少ない。日本全体を被災地と見なし、東日本大震災の被災地から離れた地域の宿まで予約がキャンセルされ、国際イベントは中止を余儀なくされた。外国人観光客の来日はぴたりと止まり、駐在、滞在していた外国人も一斉に帰国した。外国人観光客に人気の日光は象徴的に報道され、「今がシャッターチャンス」というほど閑散としていた。

震災に、原発事故に、負けたままではいられない

 外国人観光客の激減は、旅館、観光地以上にインバウンド旅行業者を直撃した。海外からの客足が戻らない状態で、どうやったら生き延びていけるのか。いつまで待てば、回復の光が見えるのか。

 そんな閉塞感に風穴を開けようと動き出したのは、石川県金沢市にある マゼラン・リゾーツ・アンド・トラスト(代表:朽木浩志)という、社員12名、ベンチャー系の旅行会社だった。同社は、日本滞在経験のない外国人に、日本全国47都道府県を100日間で回り、ブログで発信してもらうというプロジェクト「Travel Volunteer Project」に乗り出したのである。

二人がブログをアップすると、facebookとTwitterとでその様子をフォローする。
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 1998年に創業した同社は、大手旅行代理店勤務で格安航空券などを扱っていた朽木社長が、富裕層にターゲットを絞ってスタートさせた。2006年からは海外の富裕層を対象としてインバウンド部門を開始。当初は思うように販路は開けなかったが、5年が経過した今年になってようやく花開き、多くの予約が入るようになっていた。

 その全てが水泡に帰した3月11日の東日本大震災。茫然自失となった朽木社長は、一人、被災地へボランティアに赴いた。目を覆う惨状を前にして、「負けられない」。思いを新たにし、社員にも、全員交代でボランティアを経験させた。

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