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復興ニッポン:「よそ者だからできることもある」宮城・石巻の工場復旧急ぐ九州の水産加工会社(1/2ページ)

2011.07.25

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 大分県佐伯市に本社を置く山田水産(山田陽一社長)が宮城県石巻市にある石巻事業所の再開を急いでいる。周辺の復旧が進まない中で、なぜ九州に地盤を置く山田水産が工場再開を急ぐのか。そこには地域復興にかける社長の思いがあった。

 7月12日、宮城県石巻市の魚市場で東日本大震災後、始めての競りが行われた。石巻は全国有数の大規模な漁港だったが、元の市場は津波により全壊。近くに仮設の市場を建て、4カ月ぶりの再開となった。

 再開にこぎつけたとはいえ、この日の水揚げ量は震災前の3割程度。魚市場の付近には水産加工の工場が立ち並ぶが、そのほとんどは今も操業が止まったままだ。ガレキの撤去もされず、津波を受けた3月11日のままと思われる工場も多い。

 そんな中、魚市場からほど近い一角で復旧に向けた工事が着々と進む工場があった。山田水産の石巻事業所だ。

急ピッチで復旧工事が進む山田水産の石巻事業所

 山田水産は本社を大分県佐伯市に置く水産加工会社である。1963年の創業。シシャモの加工のほか、97年からは鹿児島県でウナギの養殖と加工の事業に参入。大手スーパーのイオンに同社PB(プライベートブランド)として供給し、事業を拡大してきた。

 九州で水産加工を手がけてきた山田水産が石巻に進出したのは2年前のことだ。さらなる事業拡大を狙うために、北海道なども見て回った結果、新たな事業の場所として決めたのが石巻だった。同社の山田陽一社長は「親潮と黒潮がぶつかる恵まれた漁場がある。行政の支援もあり、この場所に決めた」と話す。

 投資額は17億円。売上高100億円超の同社にとっては決して小さくない金額だ。それでも、三陸沿岸で取れたサンマやサバ、イワシを蒲焼きや照り焼きに加工する新事業は順調に立ち上がった。

 昨年からはウナギでタッグを組んでいるイオンとの間で、これらの商品をPB商品にする計画も進んでいた。震災前の時点で既にテスト販売も終え、本格販売に向けて原料も大量に確保していたところだった。まさにこれから飛躍するというところで、大震災が襲った。

 2階建ての工場の2階部分はかろうじて被害を免れたものの、サンマなどの加工ラインがあった1階部分は完全に津波にのまれた。従業員は工場2階などに逃げ、難を逃れたものの、順調な立ち上がりを見せていた工場は操業ができない状態に陥った。

震災から1週間で「復旧宣言」の文書を社員に配る

 未曾有の事態にだれもが立ちすくむ中、震災時は大分にいた山田社長の動きは速かった。震災から1週間の時点で工場の復旧に取り組むことを宣言。「工場再建」を約束する文書と震災以来、未払いとなっていた給与を石巻で働く社員たちに配って回った。

 今は8月中の操業再開に向けて、急ピッチで工事が進む。山田社長は「サンマ漁が本格化する秋には工場が動いているようにしたい」と意気込む。

 周囲ではまだ手つかずの工場も多い中、山田水産が工場再開を急ぐのは、それが「地域の復興につながる」(山田社長)と考えているからだ。

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