「物言わぬ財界では存在価値はない」と題した日本経済新聞社説が掲載されたのは1994年8月。冷戦終結から5年、「自由主義を守る」という大義を失った財界が緊張感をなくし、「日本経済がかかえる構造問題や将来の見取り図について財界トップからなんの提案も出て来ない」と経済団体首脳らの姿勢を痛烈に批判した。単に口数が多い少ないの問題ではない。当時財界に中身がなく言い放しの議論があまりに目立つことへの警鐘だった。
17年後の現在、存在価値を問われていた「財界」はいまだ健在。ただ、経済団体のリーダーたちの発言は頻繁に報じられているものの、相変わらず目立つのは政策要望など目の前の利益に結びつくものばかり。半面、未曾有の原発事故を起こした東京電力の経営責任などへの言及はなく、「やらせメール」問題で暴走する九州電力首脳を諌める様子もない。“我田引水”のロビー活動が目的ならば業界団体で十分のはず。都合の悪い世論に背を向けたままでは「財界」と国民の距離は乖離するばかりだ。
米倉弘昌・経団連会長はこのところ機嫌がよい。念願だった環太平洋経済連携協定(TPP)参加の道が開けた直後の11月15日、自民党幹部との懇談後に記者団に囲まれた米倉会長は「カナダ、メキシコに先駆けて日本が(TPPに)参加表明できたのは良かった」「(協議の過程で)ちゃんとした情報が発信されるにつれ、(反対論は)なくなるのではないか」などと満面の笑みを浮かべて語った。

















