昨年末に並行して開催された国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)および京都議定書第6回締約国会合(CMP6)のうち、 前回 はCMP6での「京都議定書延長問題」について論じたので、今回はCOP16の決定内容について触れた上で、筆者の見解を述べることとする。前回述べた通り、COP16には米国も参加しており、ここでの決定の方が長期的には“より”重要である。

 日本では、一般の関心が京都議定書延長問題に集中した感があるが、COP16でも極めて重要な前進があった。一般的には、カンクン(COP16の開催地であるメキシコの都市)で合意された内容を包括的にカンクン合意と呼んでいるが、本稿ではCOP16で合意された内容( COP16決定 、CMP6での合意は含まない)を「カンクン合意」と呼ぶこととする。

 カンクン合意に関する一般的な評価は、「コペンハーゲン合意」(2009年)の内容が国連の条約の下で法的な位置付けを持ったこと(英語では、国連の条約にAnchorされたという言い方で表現されている)、グリーン基金の設立が決まったことに対する評価が高いが、これ以外にも重要な内容が 数多く含まれている 。全体の理解のためにカンクン合意の目次を示す。

 本稿では、このうち温暖化対策の究極目標と長期削減目標、適応の重要性、先進国責任論、先進国の削減目標、温暖化対策と貿易の両立に絞って解説し、その後、米国の削減目標の意味、そして日本の中期目標再考問題について検討する。