先日、中央環境審議会地球環境部会中長期ロードマップ小委員会に出席する機会を得た。中長期ロードマップ小委員会とは、温室効果ガス(GHG)排出量を2020年までに1990年レベルから25%削減するという中期目標と、2050年までに1990年レベルから80%削減するという長期目標を達成するための行程を明らかにし、より望ましい達成方法を探索していく場ということができる。ここでいう「望ましい達成方法」とは、従来は、環境効果、効率性、公平性が評価基準とされていたが、近年は、雇用効果や持続可能性も重視されるようになり、より多くの次元の尺度から評価されるようになった。
このことは、環境問題を考える際のパラダイムが転換してきたことと関連している。すなわち、環境対策を講じることは、経済に対して負の影響を及ぼし、国民にとっては負担が増えると長らく考えられてきたのに対して、むしろ、環境対策を取ることが新しい産業や新しい市場をつくりだし、その結果で発生する、イノベーションを促すようなポジティブな効果を重視する議論が出てくるようになったことである。もし、実際に後者の効果が大きいとすれば、環境対策は経済成長にプラスになる可能性が出てくることになる。事実、現在の民主政権は、経済成長戦略の柱の1つに「グリーン・イノベーション」を位置付け、環境対策を重視している。
低炭素社会づくりについて、それに伴う国民負担に加えて、新しい需要を顕在化させ、新技術の開発を促進するという側面を合わせて考慮するという考え方は、今後、定着していくであろう。ただ、低炭素社会づくりに伴う正と負の効果を、正確に予測することは容易ではない。先日の中長期ロードマップ小委員会では、大阪大学の伴金美教授や日本経済研究センターなどによる4つのモデル分析が紹介された。いずれも、さまざまな分析上の工夫がなされ、興味深い結果が示されていた。それでも、異なるモデルによる分析結果が、一意の解を導き出すわけではない。
















