「1974年に起きた三菱重工ビル爆破事件をきっかけに、ガラスが割れて落下しても人が守られるような対策をとることが、建築設計者の間では常識になった。にもかかわらず、再び、ガラス落下事故が起きた。重要な教訓が引き継がれていない」。こう語るのは建築家の村井敬氏(村井敬合同設計代表取締役)。三菱重工ビル爆破事件では、建物のガラスが凶器となり、8人の死者と数百人の負傷者が出た。36年前の事件以来、村井氏が実践してきたガラス落下対策とは…… (ケンプラッツ編集)
三菱商事ビルで起きたようなガラス落下事故を防ぐ対策はあるか。
今回の事故が起きたとき、1974年8月30日に東京・丸の内で起きた三菱重工ビル爆破事件を思い出した。武装組織が仕掛けた爆弾によってオフィス街のガラスが落下し、それが凶器となって多数の死傷者がでた事件だ。死者が8人、負傷者は数百人に及んだ。
当時、建築設計界は、「何と不用意な設計をしていたのか」と総ざんげした。それまでの設計は自然災害が前提だったが、このようなテロには無防備であり被害は甚大だ。公共建築や大企業の本社ビルなど影響の大きな高層ビルには、こうしたテロ対策として、ガラスが割れて落下しても人が守られるような対策をとることが、建築設計者の間では常識になった。
にもかかわらず、再び、ガラス落下事故が起きた。建築界にとって重要な教訓が引き継がれていない。世代が変わると、分からなくなる。指導する側の世代も、三菱重工ビル爆破事件のことを知らないのだろう。
ガラスの品質が原因といわれているが、問題の本質は、建物の側にある。ガラスの品質の問題は永遠に付きまとうからだ。ガラス落下対策は建築の側でとるべきだ。
















