久し振りに、部長が嬉しそうです。「次郎さんよォ、今日は嬉しい! 嬉しいんだ!」。一体、何があったんでしょか。「あの専務に、新しい開発案件の説明をしたら、『う〜ん、そりゃあ、前例がないな』って、そう言われたんだゼェ」。そりゃァ、嬉しい。嬉しいに決まってますワナ。だって、開発しているアタシ達にとって、もしも前例があったら、それは二番煎じですヨ。開発てェもんは、新しくなくちゃァいけませんヤネ。
開発をしていて、何が一番悔しいかって、そりゃァ、前例ですヨ。この前例、アタシ達開発マンにとっては、とても深い意味があるのです。ここで言う前例とは、過去に扱った開発案件という意味ですが、同じ前例でも、以前、開発された商品や事業がうまくいっていて、現在も売れているなら、それはリッパな現役ですから、前例ではありませんワナ。逆に、同じように、過去に開発された商品や事業でも、今、存在していないのは、その商品や事業が、お客様に受け入れられなくなったか、寿命が尽きたのか、要するに終わったてェことで、これが、アタシ達が言う前例なんですヨ。
つまり、前例があるということは、既に過去のもの、終わった案件ですから、今から開発する意味も必要もない、そういうことなんです。逆に、前例がないてェのは、開発する者にとっては新しいコト。お客様に対しても、今までなかった商品や事業を提供する、チャンスじゃないですか。
















