「可視光通信を取り巻く状況は、数年前と比べれば夢のごとくです。やっと最近実用につながる条件が整ってきました」というのは、東京大学教授の坂村健氏。
坂村氏は「トロンOS」の産みの親だ。我々の身の回りにある電子機器は、そこに内蔵されるコンピューターによって制御されている。AV機器や家電製品はもちろん、エレベーターや自動車など輸送機器もコンピューターなしでは動かない。それらのコンピューターを動かす基本ソフト=オペレーションシステムのスタンダードとなっているのが、日本発の「トロンOS」なのである。
そして坂村教授は、モノに組み込まれたコンピューター同士が協調して動作する未来像を「どこでもコンピューター」として提唱した。「ユビキタス(遍在する)・コンピューティング」の顔となって久しい。
その坂村教授は、可視光通信コンソーシアムの副会長を務め、普及に大きな期待を寄せている。情報の発信器となるポテンシャルを備えたLED(発光ダイオード)照明器具が普及を始めた昨今の状況を「夢のごとく」とまで言うのである。
取材のため訪れたのは、坂村教授が所長を務めるYPRユビキタスネットワーキング研究所。JR五反田駅にほど近いオフィス街のビルの一室で、まずデモンストレーションを見せてもらった。
オフィスの入り口には白い光のともったネームタグが置かれていた。肉眼でハッキリとは分からないが、その光は明滅しているようでもある。それをつけた人に歩いてもらい、両手で保持するカメラ一体型ディスプレーで追いかける……。
















