花澤裕二、鈴木裕美(日経エコロジー)
政府はプロジェクトチームを立ち上げ、国内排出量取引制度の検討を進めている。早ければ2013年度にも、東京都に続いて全国規模の国内排出量取引が始まる。検討すべきことは何か。3つの論点からまとめた。
昨年11月、「国内排出量取引プロジェクトチーム」の第1回会合が開かれ、日本版キャップ&トレード(C&T)、いわば“日の丸ETS”の制度設計についての議論が始まった。まだ論点整理の段階だが、今通常国会に提出される地球温暖化対策基本法案(仮称)にも盛り込まれる予定で、早ければ「2013年度の導入」もあり得る。
ポイント1
排出枠の割り当ては?
C&Tで常に議論になるのが、「排出枠(キャップ)を公平に設定できるのか」という問題だ。C&Tにおける排出枠の割り当て方法は主に3つあり、それぞれメリットとデメリットが存在する(下の表)。
まず、グランドファザリング方式は過去の排出実績に基づいて排出枠を割り当てるというもので、努力してこなかった排出者が多くの排出枠を獲得し、努力した排出者が少ない排出枠しか得られないという不公平が生じやすい。
ベンチマーク方式は業種ごとの標準的な排出原単位を基におのおのの排出枠を決定する方式。例えば、ある業種で製品を1個生産する際に排出するCO2をベンチマークと決め、それが2tとする。
実際には個々の企業で生産効率が違うので排出原単位も異なる。仮に、A社は過去の削減努力のおかげで1個当たり2tで済むが、B社は特に努力をしてこなかったために1個当たり4t排出するとしよう。A社とB社の年間生産量が100個と50個だとするとCO2排出量はともに200tで、グランドファザリング方式では同じ排出枠を与えられるケースだ。
だが、ベンチマーク方式は「ベンチマーク×生産量(活動量)」などで排出枠を決定する。つまり、A社は2t×100個で200tの排出枠を得られるが、B社は2t×50個で100tしか与えられない。過去の削減努力に見合った配分が可能になり、公平性が高まる。
一方で、すべての業種にベンチマークを設定することは難しいというデメリットもある。
















