開発部長が、血相変えて飛び込んできました。「次郎さん、協力企業のあの会社が店じまいするっていうのさ、大変なことになっちまったァ」。店じまい、一体、何が起こったのでしょうか。部長、相当深刻ですヨ。
「社長が高齢になって、しかも、息子さんも跡を継がないらしいのサ。だから、無理やり後継者を探すより、余裕のあるうちに、従業員全員に退職金を払って店じまい。そのことで、今日、ご挨拶に見えたんだ」。部長があわてるのも分かります。この協力企業、技術は一流、しかも長いお付き合いなので、一を言えば十を知ってくれる。そんな、あうんの呼吸でやり取りが出来る、最も信頼していた会社なんですナ。それが、会社を解散する。正に、寝耳に水ってことですヨ。
しかも、資金繰りや何かのトラブルではなく、経営者のポリシーというか、哲学なんですな。今なら誰にも迷惑をかけないのでやめる。こんな話、めったにありません。いかにも、あの社長らしいのです。いい意味での一刻者。やめられる時にやめれば、あちこちに迷惑を掛けないだろう、そんな気遣いも分かりますワナ。
「安全パイ。しかも、とびっきりの安全パイって思っていたのに、こんなにビックリしたことァないぜ。ええっ、次郎さんよ」。部長も、本当に想定外のことですから、ただ驚くしかありませんヤネ。「部長、驚くのは分かるが、あとをどうするのサ。どこか、当てはあるのかい?」。「そこ、それが問題なんだ。本当に安全パイだったから、ほかを探してはいなかったし、第一、あそこほどの会社、あるわけァないだろうよ。ホントに100%、大丈夫って思っていたからナァ」。どうやら、頼り切っていたんでしょうナ。一社だけに依存していた、そのしっぺ返しかもしれません。
















