米国に「モンスターペイシェント」なる言葉はない。だが、日本にいたらそう呼ばれるであろう、自分の都合で医療従事者を振り回す患者さんや、何度請求しても治療費を払わない患者さん、診察中に携帯電話がかかってきたときに平気で話し続ける人などは、米国にも立派に存在する。
ただ、自己主張が強いことはこの国で生きていくのに必要不可欠なスキルであり、自己主張と自己責任は「アメリカ」という国の根本的概念でもある。国籍はどこに属していようと、この国に住む人は生活のあらゆる場面で主張や交渉をし慣れている。また、多様な文化が混在しているので、何が常識なのかさえ定義しにくい。ある人の失礼な行為は、ある文化の中では常識の範疇に入るのかもしれない。だからこそ、「モンスターペイシェント」という言葉が存在していないのだろう。
一時働いていた、あるスラム街のクリニック。周辺は中南米諸国出身者、特にドミニカ共和国の人が多く住んでいた上、チャイナタウンも徒歩で行ける距離にあったため、待合室はとても国際色豊かだった。
















