地場産業の伝統に固執せず、機械化や海外進出で業容を拡大してきた。安価な中国製品などに対抗するため、再びパイオニア精神を発揮。独自の技術を生かしたセラミック包丁やステンレス包丁で攻勢に転じる。
「今年は当社にとって大きな節目の年にしたい」
高知県の伝統産業の1つである「土佐打ち刃物」。その産地の香美市土佐山田町にある穂岐山刃物の穂岐山信介専務はこう意気込む。

1919年に創業した老舗の刃物メーカーの経営を、今年で84歳になる父親の穂岐山駿二社長に代わって、取り仕切る穂岐山専務は、ある計画を温め続けてきた。それがようやく実現に向けて第一歩を踏み出したからだ。
計画とは、刃にセラミックを用いたセラミック包丁を自社ブランドで発売するというもの。セラミックの刃はさびることがなく、金属製の刃に比べて摩耗もしにくい。金属イオンが発生しないので、食材ににおいが移ることも少ない。こうした利点が認められ、欧州を中心に海外で人気を博している。
穂岐山刃物は、セラミック包丁が流通し始めた80年代に、セラミックを研磨して刃に成形する技術を開発。国内のセラミックメーカーの下請けとして、刃の加工を手がけてきた。
その一方で、自社ブランドのセラミック包丁を発売するための努力を重ねてきた。セラミックの焼成技術を独自に確立。その技術を使って製造したセラミック包丁を、スウェーデンのメーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)で供給し、製造技術に磨きをかけてきた。そして今年2月、「アルチザン」という自社ブランドを冠したセラミック包丁の発売にこぎ着けた。
出展:日経ビジネス 2010年3月1日号 76ページ
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