5歳の少年・宗介が、崖(がけ)の上の一軒家から沖を行く貨物船の父に、信号灯を点滅させ「コウカイノ アンゼンヲ イノル」とメッセージを送る。すると遠ざかる船からは「アリガトウ オヤスミ」──。宮崎駿監督の映画『崖の上のポニョ』の印象的なシーンだが、ここに「可視光通信」の本質も映し出されていた。
電波を使う無線通信と、光を使う可視光通信が本質的に異なる点は、後者が伝えるのが「発信源の位置情報を含む情報である」という点だ。
映画で言うなら、航路を行き交う数多くの船の中のどれかではなく「あの船」が父の船であることと、無数に光る灯りの中のどこかの家ではなく「あの家」が家族の待つ家であることを互いに意識しつつ交信していることが、観客に強く印象付けられる。「位置情報を含む情報を伝える」という可視光通信があるからこそ、このシークエンスが成り立っている。
実はこの直前のシーンで、父から「今日は仕事で帰れない」という連絡が電話で入っていた。もし会話の手段が電話だけだったなら、ストーリーはもっと平板なものになってしまっていただろう。
信号灯による「可視光通信」ならば、発信源の位置情報付きメッセージだけでなく、「情報」の中で大きなウェイトを占める「情」をも伝えることができている──。崖の上で点滅する信号灯が、物語の中での大きな意味を持つゆえんである。
一方現実の世界でも、岬の高台や堤防の突端に設けられ、船舶に光で位置情報を届ける「灯台」が、海の安全に重要な役割を果たしている
そしてこの灯台、実はLED化の優等生なのだ。
















