気候変動に関する政府間パネル(IPCC)には3つの作業部会があり、第4次報告書(2007年)の第1作業部会と第2作業部会の報告から、「地球温暖化はほぼ人間活動の影響であり、温室効果ガスの排出量が多くなればなるほど気候変動による影響のリスクは深刻になる」という内容がマスメディアでよく取り上げられている。
これに対して第3作業部会では、温室効果ガス排出削減対策を進めるには経済コストがかかり、温室効果ガス濃度の安定化レベルを445〜535ppm(全球平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃以下に抑えるという目標達成に対応)にしようとすれば、2025年までのGDP(国内総生産)が世界全体で最大5.5%の減少、年率では最大0.12%低下すると報告している。しかし、マスメディアは、これをほとんど報じていない。
そればかりでなく「環境と経済は両立する」あるいは、「マスキー法(1970年に改正された米国の大気汚染防止法)の実施によって環境技術が発展し、日本の自動車の売り上げは伸びた。同様に温暖化対策によって環境分野が成長し、GDPは成長するのだ」というような幻想を振りまいている。地球温暖化の実態や影響についてはIPCCの報告書に基づいて報道しながら、経済の問題になるとIPCCの報告書から離れるという、ご都合主義が目立つ。
気温の上昇を産業革命前と比べて2℃以内にするためには、第4次評価報告書で示された安定化シナリオのIかせめてIIを実現する必要がある。カテゴリーIIのシナリオではCO2の安定化レベルを440ppm、他の温室効果ガスを加えて535ppmに抑えなければならない。2000年から20年の間にCO2排出量のピークが来る必要があり、2050年におけるCO2の排出量は2000年比で-60〜-30%減、カテゴリーIのシナリオでは最大85%の削減を迫られる。この数値は、表2でわかる通り、IPCC第4次報告書の中では、CO2排出量削減が喫緊で最も厳しい安定化シナリオに当たる。
環境
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