「日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる」、と内田樹氏が『日本辺境論』で書いている。本人も冒頭で書いているように、日本人の思考や行動を「辺境性」によって説明する考え方はこれまでもあり、特に新味があるわけではない。それでも、筆者が本書の中の指摘で面白いと思ったのは、「辺境人」の特徴の一つが中心部で創造された知見を「学ぶ」術に長けている、というくだりである。
日本の製造業にあてはまてみると、戦後に競争力を上げることができたのは、欧米のリニアモデルをキャッチアップできたからだと見られているが、その原型は「辺境性」にあるのかもしれない。つまり、外に何か手本があってそこに「学ぶ」ときには、「辺境性」がうまく機能するということである。
この部分を理解するためには、内田氏が「学ぶ」ということをどう見ているのかを知る必要がある。人間はなぜ学ぼうとするのか。内田氏は、「学ぶ意欲(インセンティブ)」は、「これを勉強すると、こういう『いいこと』があるという報酬の約束によってかたちづくられるものではない」と見る。確かに、まだ学んでいないのだから、学ぶことによって何が得られるのかは分からない。分からないながらも学ぼうとするのはなぜなのか。「これを学ぶことがいずれ生き延びる上で死活的に重要な役割を果たすことがあるだろうと先駆的に確信することから始まる」という(p.196)。
















