文/荒川直樹 構成/藤田香(日経BP環境経営フォーラム事務局)
地球上には雪と氷が広がる世界「雪氷圏」がある。南極大陸やグリーンランドの氷床、ヒマラヤなどの山岳氷河、北極海の海氷などだ。長い間、人々の立ち入りを許さない極限の地だったが、最近、その姿が急速に変わりつつある。
最も劇的な変化が起きているのが、北極海だ。2007年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書では、1978年以降、北極の年平均海氷面積は10年当たり2.7%減少し、特に夏季には7.4%減少していることが明らかになった。これらのデータから、2050年代には夏季の海氷面積は現在の半分以下になり、今世紀末には全く失われてしまう可能性があることを予測した。
しかし、最新の観測データで、この予測をはるかに超える異変が起きている可能性がわかってきた。IPCCの報告書は、主に2005年までに発表された科学論文を精査して執筆されたものだが、2006年と2007年の夏に北極の海氷は大規模に減少し、観測史上最小の面積になった。これを契機に本格的な北極海観測プロジェクトが立ち上がった。
その1つ、英ケンブリッジ大学を中心とした「Catlin Arctic Survey」は、NGO(非政府組織)のWWF(世界自然保護基金)と共同で今年3〜5月に北極海の北米側の調査を実施した。
ケンブリッジ大学のピーター・ワダムズ教授は、「観測された海氷のほとんどは凍結してから1年未満の氷。氷塊の蓄積がほとんどない状態だ」と発表し、夏季の海氷は20年後にすべて消滅する可能性があるという衝撃的な報告書をまとめた。

















