個人的な話で大変恐縮ですが,実は私は大きな数字が苦手です。決して「まんじゅう怖い」のそれではなく,文字通り恐怖を感じることさえあるのです。
何を言っているかというと,例えば,太陽電池の出力や発電量を示す数字です。太陽電池が大規模に設置してあることをアピールするテレビ・コマーシャルで,仲間由紀恵さんの「ここでどれぐらい発電できるんですか」という質問に,「年間約14万5000kWh,石油にすると約3万5000リットル節約できます」と答えるKDDIのあのコマーシャルが苦手です。
この14万5000kWhという数字が,多いのか少ないのか,瞬時に分かる方はどれだけおられるでしょうか。実際,太陽光や太陽熱発電の記事を書いていて煩わしいのが,その単位です。日本の電力会社などは伝統的に「kW」や「kWh」を使ってきたようですが,最近の太陽光発電では数字が非常に大きくなってとても分かりにくいのです。
例えば,関西電力とシャープが2012年度までに大阪府堺市に稼働予定の大規模太陽光発電施設(2カ所)の総出力は,約2.8万kW。年間の発電量は約2900万kWhです。太陽光発電協会が先日発表した,2009年第2四半期の日本国内での太陽電池出荷量は,13万6684kWでした。年間発電量では(稼働率を12%と仮定して),約1億4368万kWhになると計算できます。欧州では,2050年までに,(蓄熱装置で平準化後の出力が)約1億kW分の太陽熱発電施設を中東や北アフリカに設置して欧州まで送電する計画がありますが,計画通りならその年間発電量は,8760億kWhにもなります。こうした数字にまったくたじろがず,そのインパクトがすぐに分かる人は,電力関係者以外ではかなりの数字の達人(変人?)といえるでしょう。
私が大きな数字が苦手な理由の一つは学生時代のある体験にあります。大学2年の冬休みに欧州を放浪していた中で,今は亡きユーゴスラビアに辿りつきました。ところがそこはハイパー・インフレの真っ只中。硬貨は姿を消し,ほんの数千円ほどのお金を両替しただけなのに,ぎょっとするような数の「0」が並んだディナール紙幣が大量に返ってきました。あれほど大量のお札を手にすることは初めてで,おそらく今後もないでしょう。

















