
財務屋かクルマ好きかに二分される自動車業界トップの中で、イタリア大手フィアット・グループCEO(最高経営責任者)のセルジオ・マルキオーネ氏(56歳)は、後者でも過激な部類に属する。「フェラーリ」のコレクションに加え、「アルファロメオ8C」と「マセラティ・クアトロポルテ」を所有している彼は、本拠地トリノではマセラティを駆る。彼の名のアルファベットを並べ替えてアナグラムを作ると、「his car engine room」となる。
業界外から来た門外漢
イタリア財界のリーダーらしく、外出時には武装した護衛をつけるが、妻と2人の幼い息子が住むスイス・モントルー近くの国境に来ると護衛を帰してしまう。自動車ショーでは、ほかのCEOが自社製品の宣伝にいそしむのを尻目に、独アウディなどのライバル車を熱心に研究している。
1月20日、マルキオーネ氏はフィアットと米クライスラーの戦略的提携を発表した。クライスラーは魅力あるブランドとは言い難いだけに、業界は騒然となった。イタリア最大の民間企業の1つで多くの有名自動車ブランドを抱える同社が、ミニバンとSUV(多目的スポーツ車)が売りの米自動車メーカーと運命共同体になろうとしているというニュースに、市場の反応は極めて冷ややかだった。しかもクライスラーは事実上米政府の保護下にあり、40億ドルの公的資金による緊急支援のおかげで事業継続できている状態だ。
出展:日経ビジネス 2009年2月9日号 102ページ
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