■エネルギーコストの比重が大きい温浴業界
エネルギー消費の“見える化”に着目し、温浴業界で先進的な取り組みを始めたのが万葉倶楽部(神奈川県小田原市)だ。「地方の名湯を都会で」をキャッチフレーズに、1997年に東京都町田市に「東京・湯河原温泉万葉の湯」をオープンして以来、関東を中心に北は北海道から南は福岡県まで、全国8カ所に日帰り温泉施設「万葉の湯」を展開している。熱海や湯河原、由布院、武雄の温泉を大型タンクローリーで運ぶ「運び湯」方式で、都会にいながら、本物の“天然温泉”を堪能できることをウリに、売上高100億円規模(2007年)のビジネスを展開している。
町の銭湯は減少の一途を辿っている。1985年には全国で1万3000軒以上あった銭湯が、利用客の減少により、2006年には約6000軒と半減。ひと頃の原油価格高騰も追い討ちをかけ、廃業が相次いでいる。一方で、いわゆるスーパー銭湯などの施設数は、1995年以降、増加傾向にあり、この20年で2倍以上に増えた。厚生労働省の報告では、一般的な銭湯以外の入浴施設が全国で22000軒を超えるという。レストランやマッサージのサービスを備えた中規模施設から、「大江戸温泉物語」(東京都江東区)や「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)などのテーマパーク型の大規模施設、「スパ ラクーア」(東京都文京区)に代表される、主に女性をターゲットにエステを充実させた滞在型施設など、業種・業態も多様化している。
実は、こうした大量のお湯を使う温浴施設のエネルギー消費をどう抑制するかが、大きな課題となっている。温浴施設は他の業務用施設と比較して、単位面積あたりのエネルギー使用量が圧倒的に高い。2、3店舗を運営するだけでも、今回の改正省エネ法で定めた原油換算で1500キロリットルというエネルギー使用量を超え、規制対象となりうるのだ。この点が、一つの店舗あたり年間100キロリットル程度のエネルギー消費で済むファミリーレストランや居酒屋チェーン店とは違うところだ。
温浴施設の場合、給湯をはじめとする一般的なエネルギー利用ばかりでなく、レジオネラ菌対策などの温浴施設ならではの厳しい衛生管理が求められ、その対策にも多くのエネルギーが消費される。多岐にわたるエネルギー関連の設備機器は、多い場合には、一つの施設だけで500以上を数え、すべてを総合的に管理することが極めて難しい。
















