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Associe インタビュー

私を虜にしたベトナムという名の「熱」

日本人初のベトナム公認会計士・蕪木優典さんに聞く

Associe

「アジアから世界へ」をモットーに日本とベトナム、ときにカンボジアを行き来しながら日系企業のアジア進出をサポートしている公認会計士の蕪木優典さん(I-GLOCAL代表)。日本人ではじめて、現地での公認会計士の資格を取得した「ベトナム進出サポートの第一人者」です。「遊んでばかりいた劣等生」を自称する彼が何をきっかけとして、ベトナムビジネスの道を選んだのでしょうか。そして彼の目に、日本とベトナムのビジネスパーソンは、どのように映っているのか――。
(2010年2月16日)

日本人初のベトナム公認会計士
大きな“伸びしろ”に惹かれ、毎月のように通った日々

 戦争が終わって20年近く経つというのに、深く刻まれた枯葉剤の傷跡は消えていない。道端を這いつくばっている、一見、人間とは思えないような人を見てそう感じました。1990年代前半、叔父に連れられて初めて訪れたホーチミンでのことです。それでも、何とも言えない熱気や活気――もっとも「活気」と感じたものが単なる秩序のなさだということに気づくまでに、時間はかかりませんでしたが――に強く惹かれ、大学最後の年から大学院にかけての3年間ほどでベトナムを訪れた回数は2桁に上るのではないでしょうか。多いときは毎月のように行っていましたから。

蕪木 優典(かぶらぎ・ゆうすけ)

公認会計士(日本/ベトナム)。1972年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。大手監査法人に在職中に、提携先のベトナム事務所へ赴任。日系企業と提携先現地法人との橋渡し役として投資アドバイス、会計税務のコンサルティングをはじめとする業務に携わる。駐在中に日本人で初めて、ベトナム公認会計士試験に合格。ベトナム公認会計士となる。

 違和感がなかったんでしょうね。ベトナム人に対しても、ベトナムという国に対しても。肌の色はやや浅黒いけれど、驚くほどではない。米食文化で宗教は仏教、それでいて儒教的な考え方も持っている。比較的勤勉…。そんな取っつきやすさ。それから、大きな伸びしろを感じさせてくれるところ。そんなところに惹かれたんだと思います。それでも将来、自分が会計士になってこの国で仕事をしている姿を思い浮かべることは、ほとんどありませんでした。

 会計士として働くようになって3年目に、久しぶりにベトナムに行ったんです。そこで、当時勤めていた監査法人の提携先が、ホーチミンに駐在員を置いていることを知りました。しかもその駐在員は、帰国を希望している。それで旅行から帰って赴任の希望を出したんです。すると職歴が浅かったにも関わらず、すんなり赴任が決まってしまいました。カンボジアと一緒くたに考えられていたり、度重なる戦争の印象が強かったりと当時のベトナムはイメージが良くなかったので、誰も行きたがらなかったんですね。

 数カ月の準備期間を経て1999年の9月に赴任、ホーチミンで働くことになりました。日本人で初めてベトナム公認会計士の資格を取ったのは、2000年の夏。たまたま会社から「取れ」と言われたので試験を受けたんですよ。当時はいまほど法律や会計のルールが多くなかったこともあって、全く勉強しなかったにも関わらず合格しました。ただ、資格を取ったからといって現地での業務をそれでやるわけではありません。会計士の仕事自体は日本の資格でできます。資格があることと、仕事をすることは別ですから。持っていることのメリットは、ベトナムでの社会的信用が違うというのがまずあると思います。それから、現地に監査法人を作るにはベトナム公認会計士の資格がないとダメなんです。そこで役に立った程度ですね。

ベトナム駐在3年、帰国後に監査法人を退社

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