「ボク様」卒業への道

2010年2月8日

【21】うつ病の後輩に情が移って結婚しました

頼られたいけどリーダーにはなりたくない、増澤昌己の場合

<今週のロスジェネ既婚男>
年齢:31歳
結婚年齢:29歳
仕事:カラオケチェーン企業社員
世帯年収:700万円
家族構成:妻

 今春卒業予定の大学生の就職状況はかなり厳しいようだ。大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)は73.1%だという。「就職氷河期」という耳覚えのある言葉を久しぶりに聞いた。

 ただし、かつてない不況期であった1995年〜2005年に社会に出た僕たち「ロストジェネレーション」が経験した就職難もすごかった。僕が卒業した2000年なんて大卒求人倍率は過去最低の0.99倍。学生一人への求人数は一件に満たなかった計算になる。ちなみに今春卒業予定者は1.62倍。まいったか!

 思わず不幸自慢をしてしまった。増澤昌己(仮名、31歳)もロスジェネの典型のような男だ。大学在学中にせっせと資格試験を受けて「スキルアップ」し、老舗名門ホテルに就職。四年制卒なので総合職の道が開けていたにも関わらず、「専門職」を志願する。ドアマンとして2年間勤務したが、理不尽な命令にも絶対服従を強いられる現場に耐えられずに退職した。

 就職環境が厳しいから早め早めに自分磨きをした結果、視野を狭めてしまう。「ジェネラリストは駄目だ。とにかくスペシャリストにならなくちゃ」などと思い込んで、肌に合わない現場に紛れ込む。そして、自分にも周囲にも迷惑をかけた末に体を壊すか辞める。かつて僕も歩んだ悲しみの道である。

 カラオケボックスをチェーン展開している企業に転職した増澤。最近はどうしているだろうか。週一休みで朝から深夜まで働いているというので、休みの日に渋谷に呼び出して、「コンシールカフェ」で昼食をとりながら話を聞くことにした。

同棲相手の流産と別離で女性恐怖症に

大宮(以下、O) 久しぶりだね。ビールで乾杯しよう。
増澤(以下、M) 
いい店ですね。ランチビールも久しぶりだな…。

O 仕事はどう? 相変わらず忙しそうだね。
M 
職場から徒歩15分のところに引っ越したので、少しは楽になりました。会社で何かあるといつでも呼びされちゃいますけど…。うちの会社、カリスマオーナーがいる企業の子会社なので労働環境が整っていないんですよ。

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著者プロフィール

大宮 冬洋(おおみや・とうよう)
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。『日経ビジネスアソシエ』、『プレジデント』、『きょうの料理ビギナーズ』、『dancyu』などで執筆。バブル経済を謳歌した人々のおバカな思い出話を聞く「バブルに学べ!遊ぶ力」も連載中。著書に、『30代未婚男』、『ダブルキャリア』(ともに共著/NHK出版)がある。最近の課題は「自炊」。食生活ブログをほぼ毎日更新中。

このコラムについて

「ボク様」卒業への道

 「結婚した男には取材してくれないの? 俺だってまだまだ現役だよ…」。結婚6年目の友人(既婚、32歳)が酒の席でつぶやいた。僕が以前にやっていた連載「ロスジェネ世代の叫び!ボク様未婚男のリアル」を毎週読んでいるが、既婚者の話が出てこないので疎外感を覚えるという。知ったことか! お前は20代で同僚の美人一般職と結婚して、目下育児中だろう。何が「現役」だよ。早く帰宅してオムツを換えろ! 嫉妬交じりに罵倒しようと思ったら、友人の目が真剣なことに気がついた。何か鬱屈があるのだろうか。幸せ自慢を聞くのは苦手だが、哀愁を共有するのは嫌いじゃない。いいよ、分かった。今度はお前の話を聞くよ。
 僕の同世代は、大学3、4年生で就職氷河期を経験したことから、ロストジェネレーション(1972年〜82年生まれ)と呼ばれる。経済的な理由などから、「結婚適齢期」にもかかわらず結婚に踏み切らない人が多い。では、この世代で結婚をしている男たちはいったい何を考えているのだろうか。どうして結婚したの? 結婚してよかった? 何が不満なの? キレイゴト抜きの正直な気持ちを聞かせてくれ!

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