ロジカルシンキングの達人になる

2009年11月20日

【31】MBAではノートを取らないほど伸びる

目的をうまく押さえるには(自分編)

 10年以上論理思考を教えてきた経験から思うのは、授業中にノートを取らない人ほど伸びるということです。頭がいいからノートを取らなくても覚えられる、ということではありません。またこのことは、論理思考だけでなく、例えばMBAで教えるような科目の多くにもあてはまります。

 どういうことかというと、まず一つは、こういったタイプのクラスではノートを取るべきことが、あまり話されていないということです。知識は本で得られますし、後で読み返すべきことは資料を配られることが多い。もう一つは、ノートを取るためのエネルギーを考えることに向け、それを先生の考え方とチェックしてみることこそが教室でやるべきことだからです。

 でも、クラスでこういう話をする前は、教室中からシャカシャカとノートを取る音が聞こえてきます。学生時代の習慣からそうなるのでしょう。そして上の話をすると、ぴたっとその音が止まります。しかしもし、
  ・自分の目的をしっかり意識できていて、
  ・その目的のためにどういう手段が有効かを考えた結果、
話の前からノートを取らない(あるいは逆になんらかの理由があって取っている)人がいたら、その人はなかなかのロジカルシンカーだと思います。

 前置きが長くなりましたが、今回のテーマは目的をがっちり押さえることです。前回の「目的をうまく押さえるには(相手編)」に続いて自分編ですね。自分のやることの目的を押さえ続けるなんて、当たり前のように見えますが、実はけっこう難しいことです。また、逆にこれができている人は高いパフォーマンスを上げるとともに、「ぶれない人」「本質を押さえて行動する人」と評価されているように思います。

感情的になったら負け

 本来の目的を忘れてしまうケースで、分かりやすくありがちなのは「感情的になって」というものでしょう。しかも皮肉なことに、一生懸命になるほどそうなったりします。例えば、二人の門出となる結婚式を良いものにしようと準備しているはずが、親や本人たちの意見がぶつかり合い、けんかになってしまう。日常生活の中、近しい間ほどこういうことは起きやすく、僕も家での言動をよく反省しています(まだまだ人間できていないですね)。

 一方、スポーツの世界では逆にこれを利用することもありますね。相手を挑発していらつかせる。サッカーなどを見ていて、「なんでここであんな反則をするかな!」と思うことがありますが、おそらく本人はかっとなって思わず体が動いてしまうのでしょう。結果として相手にチャンスを与えてしまうという、不本意な結果になります。

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著者プロフィール

高橋 俊之(たかはし・としゆき)
「SCHOOL OF 未来図」代表。
一橋大学法学部卒、ミシガン大学経営大学院修士課程(MBA)修了。情報機器系ベンチャー企業を経て株式会社グロービスに加わり執行役員、グロービス・マネジメント・スクール(GMS)統括責任者などを務める。同スクールではクリティカル・シンキング・クラスの講師も務め、1000人以上の受講生を担当、カリキュラムの開発・改良にも携わる。並行してネット上の知識創造メディア&コミュニティ「知恵市場」を主宰。2001年からは独立、知恵市場、GMS講師のほか、新しい教育手法による「英語のシャワー」を主宰。2005年、活動を統合し「SCHOOL OF 未来図」として創立。現在、日本工業大学専門職大学院(MOT)客員教授、立教大学経営学部兼任講師も務める。著書に「やりたいことを実現する 実践論理思考」などがある。

このコラムについて

ロジカルシンキングの達人になる

難解な専門用語に振り回されずに、ロジカルシンキング(論理思考)を身につける−−。それがこのコラムの目的です。日々のニュースや身の回りの出来事を題材に、論理的に考えるための手順をお伝えします。「考える」ことは楽しいと実感してください。

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