日銀は2011年度まで消費者物価が下落し続けるとの見通しを発表した。 「モノが安くなってうれしい」などと考えてはいけない。 デフレスパイラルに陥ると、私たちの生活がますます脅かされるのだ。
物価下落が止まりません。日本銀行は10月30日の金融政策決定会合で、驚くべきリポートを発表しました。それは「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)というものです。今年度だけではなく、何と2011年度まで消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率がマイナスになるとの見通しを示しています。詳しく言えば、2009年度がマイナス1.5%、2010年度がマイナス0.8%、2011年度がマイナス0.4%となる見通しで、2012年度以降にならないと、需給ギャップが解消しないと見ています。
実際、総務省が毎月末に発表する消費者物価指数を見ると、8月にマイナス2.4%(前年同月比)と過去最大の下落率を記録。9月もマイナス2.3%(同)となり、これで7カ月連続、消費者物価は下がり続けました。
なぜ、長期的に物価が下落し続けるかというと、答えは単純で、供給が需要を上回っているからです。世界経済の急激な落ち込みにより、生産設備や労働力の過剰感が強まっている一方、消費者が賃金の下落や、今後のさらなる物価の下落を見越して、不要不急の物を買わなくなっているのです。
このようなデフレが長期的に続くと、デフレスパイラルという現象に突入します。物価が低下するから企業の利益が下がる。企業の利益が下がるから、企業は雇用を控え、賃金を引き下げる。労働者は消費者でもあるので、購買力が低下する。購買力が低下するから、ますます物価が低下し、企業の利益が下がる…。こうした悪循環が始まるのです。いえ、日本では既に始まっているのかもしれません。
デフレスパイラルが進行することで最も深刻な影響が出るのは、若年層の雇用です。日本企業では新卒一括採用が主流のうえ、正社員の雇用は比較的守られているため、米国のような大規模なリストラや賃金カットがなかなか起きません。ところが、多くの企業は人件費を引き下げないとどうしようもないところに、追いやられています。すると、定年退職者によって自然に減る分について、新たに雇用をしなくなり、雇用をしたとしても、賃金が安く、かつ雇用を中途で止めやすい非正規社員を採用するようになるわけです。
デフレが進行するほど失業率が上がるという現象は、「フィリップス曲線」という実証研究で知られています。フィリップス曲線は1958年に発表された古い理論であり、反証もありますが、それでも日本のように、賃金に強い下方硬直性がある雇用慣行を持つ国では、雇用の減少にストレートにつながりやすいのです。実際、日本全体の失業率、とりわけ若年層の失業率はどんどん上昇しています。






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