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潜在“脳力”を活かす仕事術

【39】サプリメントに犯罪予防効果がある?

Associe


 ビタミン剤を飲むと犯罪が減る──。こう聞いても、どこかうさんくさく、にわかに信じがたい。ところが、これが科学的に立証されつつある。この件については今年9月の『サイエンス』誌でも3ページに渡って詳しく特集された。オックスフォード大学のゲシュ博士が研究をリードしている。

 その分野の研究をしている専門の方には申し訳ないが、過去の栄養学の論文は、いわゆる基礎科学実験に比べて、サンプル数の不足や不適切な対照実験など、実験デザインが甘く、確定的な結論が得られないものが少なくなかった。

 その後、多くの栄養物質の有効性が、無効であることが判明したりすることも珍しくなく、こうした不適切な経緯の積み重ねの結果、栄養学という学問自体が学術的に不当な扱いを受けてしまう傾向がある。

 オハイオ州立大学のアーノルド博士も「たとえ真っ当な研究者でも、この分野を専門にしているというだけで、協会から“有罪”のレッテルを貼られてしまう」と嘆いている。

 ゲシュ博士はこうした偏見と闘うために、周到な実験デザインを用意した。彼が目を付けたのは服役中の囚人である。イギリスのある刑務所に実験協力を依頼し、232人もの実験参加者を得た。

 専任の精神科医が実験参加者を一人ひとり監査しながら、各人の番号に対応した錠剤を慎重に手渡していく。この錠剤は栄養サプリメントである。参加者の半分にこのサプリメントを渡し、残りの半分には、外見はそっくりだが栄養素が含まれていない偽の錠剤を渡す。

 偽錠剤はプラセボと呼ばれる。偽物の薬でも「飲んだ」と意識するだけで効いてしまうことがあるのが心理作用の面白いところ。このため、与えた栄養素に本当に効果があるかどうかは、プラセボの効果と比べて、どれほど強いかを評価することで判断しなければならない。

 ゲシュ博士のさらに慎重なところは、錠剤を手渡す精神科医にさえ、どれが本物かプラセボかが分からないようにしていることだ。勘のよい参加者ならば、精神科医のさりげない表情や仕草からプラセボか否かを察してしまうだろう。

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