一方、「普通の結婚」を手に入れたはずなのに、結婚生活にストレスを抱えて精神科の診察室を訪れる女性も多いそうです。なぜ、そうなってしまうのか――。今回は、その理由から話を進めます。
結婚とは、「コントロールできない他人」と向き合うこと
香山 診察室には最近、子育て中の40歳前後の女性がたくさんいらっしゃいます。30代で結婚して子供が1人か2人いる、という方たちなのですが、夫への不満や子育ての苦労を機関銃のようにまくしたてるんですね。そういう方を見ていると、「でも、それは承知の上でご結婚されたのでは…」と咽もとまで出かかるのですが、そこはグッとこらえています。
白河 結婚や出産というのは、実際にしてみないと分からないものなのですよね。

1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授。豊富な臨床経験を活かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー評論など幅広いジャンルで活躍する。 『親子という病』(講談社)、『「私はうつ」と言いたがる人たち』(PHP研究所)、『スピリチャアルにハマル人、ハマらない人』(幻冬舎)、『いまどきの「常識」』(岩波書店)など、著書多数。近著に『しがみつかない生き方』(幻冬舎)。
香山 恐らく、「自分で選択した」という気がないのかな。彼女たちを見ていると、「最初は好きで結婚した」とか「結婚する時はいい人だと思った」と語ることは一切なくて、どちらかと言えば他罰的に、「自分はひどい目にあっている」「夫がひどい」と言っている感じなんです。
話を聞いていると、夫が暴力を奮ったり浮気をしているわけではなくて、「夫が私を意識してくれない」とか「子供がかわいいと思えない」「子供が言うことを聞かない」という内容なんですね。客観的に見ると「よくある話じゃない」ぐらいに思ってしまうことと言いますか…。
そういう方たちの中には、高学歴な女性が結構多いんです。彼女たちの今までの人生では、勉強すればそれなりに結果が出ていたので、「人生は自分でコントロールできるものだ」と思い込んでいるのでしょうね。でも結婚したら、自分でコントロールできないことがたくさんある。夫は他人だからコントロールなんてできないし、ましてや子供はもっとコントロールできないから、ジレンマに陥ってしまってイライラしているんですよ。
白河 分かります。結婚とは「コントロールできない他人と向き合わなければならないこと」なんですよね。
香山 そうですね。
白河 でも今は、その「コントロールできない他人と向き合うこと」にストレスを感じるような人も、「婚活しなくちゃ」と言っているんですよ。






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