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新型インフルエンザ対策として、ウイルスの知識を身につけよう

Associe

speaker 井上 栄(いのうえ さかえ) 国立感染症研究所名誉所員、大妻女子大学教授

1940年山梨県生まれ。東京大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。国立予防衛生研究所(予研)ウイルス中央検査部研究員、国立公衆衛生院衛生微生物学部長、予研感染症疫学部長を経て、国立感染症研究所(感染研)感染症情報センター初代センター長に就任。2000年、定年退官し、感染研名誉所員。現在、大妻女子大学家政学部食物学科教授。著書に『文明とアレルギー病 ― 杉花粉症と日本人』(講談社)などがある。

 今春、世界中に広がった新型インフルエンザ。今もなお全国で猛威をふるっている。インフルエンザは寒くなる時期に感染が拡大するため、今後も注意が必要だ。

危険なH5は広がらない

 世界保健機関(WHO)は、危険な鳥インフルエンザウイルスH5が人で広がる可能性を考えて、各国政府にその備えをするよう要請してきた。しかし今春出現したウイルスは弱毒のH1であった。よく考えれば、清潔な先進国において人から人へと広がるウイルスは、症状が軽いがために感染者が動き回りウイルスを広げるのであって、症状が重ければ患者は動けなくなって広がらないのである。

 動物と人間を比較すると、危険な病原体が広がる状況は全く異なる。動物間では、糞尿に排泄されたウイルスは乾いて埃となって広がるが、人間はトイレを使うので舞い上がらない。また先進国では、人は大部屋にほとんど住まないので人から人へと広がらない。

 清潔な環境でも広がる感染症は、咳でうつるインフルエンザかセックスでうつるエイズである。今回の新型インフルエンザは強毒のH5でなく弱毒のH1であったが、弱毒だから広がったのである。

 1918年の「スペイン風邪」ウイルスもH1だった。それが若い人に多数の死者を出した理由は、激しい肺炎を起こしたためと考えられている。肺の奥でウイルスが増殖し呼吸困難が起こって多くの人が死んだ。息が苦しいので咳が強く、その咳でウイルスを多数の人にまき散らしたと考えられる。

流行拡大を防ぐ手段とは…

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